logo

「フィットネスクラブ」はテクノロジでどう変わる?--メガロス運営の大橋社長に聞く - (page 2)

  • 一覧
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

――お話を聞いていると、さまざまな取り組みは利用者のモチベーション維持にフォーカスを当てているものが多いと感じます。フィットネスクラブの利用者は、利用開始当初は高いモチベーションで臨みますが、徐々にそのモチベーションは下がって最終的には会費だけを払うようになってしまう人も少なくありません。意識しなくても継続できる環境を作るというのは重要なテーマだと思いますが、一方で運営会社としては会費が回収できれば利用頻度に関係なくビジネスは維持できるのではないでしょうか。

 これは、企業理念にも掲げていることですが、われわれの事業目的で最も重要なのは健康増進と生きがい作りに貢献することだと思うのです。まずは、フィットネスクラブに通ってくださる利用者が生きがいをもって長く続けていただくことが、すべての基本になると考えています。もちろん、長く続けていただく中でモチベーションが低下してしまったり、行くのが面倒に感じる場面もあるでしょう。その中で「それでも行くか」と感じるかどうかを左右するのが、キャストという人によるものではないかと思うのです。

 スマートフォンアプリを通じてトレーナーが利用者に応じたアドバイスをしたり、食事管理をしたりするパーソナルトレーニングは、まさにそうした狙いから誕生したサービスです。


パーソナルトレーニングの利用者に提供されるスマートフォンアプリ

 たとえば、歯医者は多くの場合事前に予約して受診しますが、それは歯を治したいということだけでなく、“約束しているから行く”というモチベーションも大きな影響を与えているのではないかと思います。パーソナルトレーニングも、スマートフォンアプリを通じてフィットネスクラブにいない時間でもコミュニケーションとることでコーチとのエンゲージメント=約束を生み出し、モチベーションを維持して効果を生み出すことが期待できると考えています。こうしたツールは今後ももっと増えていくのではないでしょうか。

 このパーソナルトレーニングの考えは、スイミングスクールのパーソナルレッスン「KAICA-カイカ」にも導入されており、子どものマンツーマンレッスン中の様子を動画に撮影して、レッスン後に振り返ったり、スマートフォンアプリを使い親子で復習できるサービスを2017年から展開しています。サービス利用料は決して安くはないのですが、他のスイミングスクールからの乗り換えが増えるなど予想を超える反響をいただいています。


スイミングのパーソナルレッスン「KAICA-カイカ」で提供されるスマートフォンアプリ

――テクノロジを活用することで、トレーニング中やレッスン中の時間を離れたときでもコミュニケーションができ、コーチングの幅が広がったということですね。

 そうですね。加えて、たとえば水泳のレッスン中にコーチから言葉でアドバイスを受けても、すぐに飲み込めないことがありますよね。そうした場合に、動画で振り返って目で見て確認できるというのはわかりやすさにつながると思います。フィットネスでも「とりあえずどんなフォームでも身体を動かせば効果があるのでは」と考える人もいると思いますが、当然正しいフォームで身体を動かしたほうが効果はより期待できるわけです。コーチによるアドバイスを補完する役割として、動画やアプリなどのテクノロジは大きな役割を果たすと思います。

――こうしたテクノロジを活用したパーソナルトレーニングは、今後どのような展開を考えているのでしょうか。

 テニスのレッスンや体操教室などへの導入を構想しています。最近では画像解析の技術が進化してきているので、フォームを解析するだけで的確なアドバイスが導き出せるような仕組みなどを取り入れることで、コーチングに幅を生み出し、利用者の可能性を引き出せるのではないかと考えています。

フィットネスクラブのICT活用、なぜ遅れたのか

――フィットネスクラブで導入されるトレーニング機器は、運動量や脈拍を測定する機能が搭載されたものなどテクノロジによる高度化は早い段階から進んでいたと思います。その一方で、フィットネスクラブそのもののテクノロジの活用は決して早いとは言えないのではないでしょうか。どのような要因が考えられますか。

 これは私見ですが、トレーニング機器のメーカーとフィットネスクラブの運営者で考えていることが別々になっていたことが大きいのではないかと思います。たとえば、トレーニング機器メーカーは独自にICTを活用した機能を開発して高価で高付加価値の機器をフィットネスクラブに導入を勧めます。しかし、フィットネスクラブ側としては高価な機器を導入したからといって、会費を値上げすることはできないわけです。この両者の立場の違いが大きいのではないでしょうか。メーカー側は優れた機能を次々に生み出すのに、フィットネスクラブ側がそれを活用しきれていないという状況が続いてきたのが現実なのではないかと思います。

 しかし、私は導入できることから活用して、そこで得られるデータをどんどんフィットネスクラブのサービスに活用していくべきではないかと思います。フィットネスクラブにおけるデータの活用は業界全体で拡大しており、今後加速度的にフィットネスクラブにおけるテクノロジの活用は進んでいくのではないでしょうか。

――これまで、トレーニング機器メーカーとフィットネスクラブは分断された関係だったが、顧客体験を生み出すのはあくまでフィットネスクラブ側である。その前提に改めて立った結果生まれたのが、パーソナルトレーニングなどの新しいサービスというわけですね。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]