KDDIは5月10日、2018年3月期決算を発表。売上高は前期比6.2%増の5兆419億円、営業利益は5.5%増の9627億円と、増収増益の決算となった。
今期は個人向け通信事業を主とした「パーソナル」、法人事業を主とした「ビジネス」、海外事業の「グローバル」、そして「バリュー」から名前を変えた生活系サービスを担う「ライフデザイン」の、4つの事業セグメントすべてにおいて増益を達成。3G設備の減損などの影響がありながらも、好調な業績が最終的な増益に結びついたという。
また2017年7月に開始したauの新料金プラン「auピタットプラン」「auフラットプラン」は、4月8日に700万契約を達成。新料金プランを提供した第2四半期以降、auの解約率は改善に向かっているとのことで、特にauピタットプランはデータ通信の利用が少ない人の解約率低下に結びついているという。一方で、新料金プランのうち、auフラットプランの選択比率が2018年4月時点で41%に達していることから、今後のau通信ARPAの上昇が期待されるとのことだ。
KDDIグループ全体のモバイルIDに関しても、auの解約率が低下してきていること、そしてUQコミュニケーションズの「UQ mobile」など、傘下企業のMVNOの契約数が伸びていることから、前期比1.8%増の2646万にまで成長しているとのこと。新料金プランの影響でau通信ARPA収入が落ちているものの、MVNOの契約数が86万から177万まで伸び、収入が増えていることから、モバイル通信料収入は前期比1.4%増の1兆7878億円に伸びている。
同日に実施された決算説明会では、4月より新たに代表取締役社長に就任した高橋誠氏が登壇。今回の決算概要に加え、通信とライフデザインの融合に向けた取り組みについて改めて説明するとともに、来期の業績予想も公表した。
高橋氏は「KDDIはライフデザイン事業にシフトすると言われているが、それは誤解。通信が事業の軸であることは変わりなく、そこにライフデザインを重ねていく」と話し、両者の融合によって顧客のあらゆる生活にライフスタイル提案をし、付加価値を高めていくことにより、体験価値を高める戦略を取っていくとしている。
付加価値戦略のキーとなる要素の1つ目は、顧客情報に紐づいたauのIDと、au WALLETなどの決済を活用した収益基盤。2つ目はポストスマートフォン、つまりIoTや5Gで新しい顧客体験価値を提供し、成長につなげること。そして3つ目は、多様なサービスを複合的に提供し、長期利用を推進していくことだと、高橋氏は話す。
KDDIでは、付加価値の提供による売り上げの拡大を3Gのころから推し進めており、現在ではその比率が24%に達しているとのこと。そして高橋氏は、スマートフォンの次の時代は5GとIoTによって体験価値に新しい技術がもたらされるとし、自社グループのシナジーを生かしてオープンイノベーション創出のためR&Dに積極的に取り組んでいくとした。
だが、来期となる2019年3月期は、現在の中期経営計画の最終年度に当たり、現在の戦略を推し進めている最中でもある。高橋氏は、あくまで「現在の中期目標の達成を目指す」との考えを示し、売上高は5兆1500億円、営業利益は1兆円超えとなる、1兆200億円を目指すことで、中期経営計画の達成を実現したいとしている。
そのための取り組みとして、通信事業ではau通信ARPAの向上と、au解約率の改善を図っていくとのこと。その上でライフデザイン事業の利用を拡大し、付加価値ARPAを前期比18.6%の700円にまで高めていくという。それにともないau経済圏は流通総額、売上高ともに前期比1.3倍の規模を目指すとしている。
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