コネクテッドカーは“未来の街づくり”をどう変える?--スマートドライブと三井不動産が対談 - (page 2)

“車が停まっている時間”が価値を生み出す

川路氏:車のIoT化による法人の車両管理や保険ビジネスへのデータ活用などは想像がつきますが、コネクテッドカーで個人のライフスタイルはどう変わると考えていますか。

北川氏:未来の車にはAV(自動運転自動車)、EV(電気自動車)、CV(コネクテッドカー)という3つのトレンドがありますが、普及はこの順番に進んでいくと言われています。コネクテッドカーで、単純にデータをクラウドに収集して安全運転者の保険料を安くしたり、事故が起きたときにすぐに駆けつけたりするといった利用シーンが第1フェーズだとすると、私たちが将来目指していく本質的な価値は「他のこととつながる」ことではないかと思います。

 たとえば、コネクテッドカーがスマートホームとつながると、車が家に近づいた際にエアコンを自動で入れてくれたり、家族に通知してくれたりするといったシーンが考えられますよね。こうした生活の異なる局面をデバイスがつなぐことから、新しい世界が実現するのではないかと思います。そして、クルマだけではない、あらゆる手段の「移動」について、自分のライフスタイルや時間など条件に合わせて最適な移動手段をユーザーに教えてくれるといったシステムも実現するでしょう。

川路氏:大変興味深いですね。移動手段の選択って、実は現在位置、目的地までの距離や時間、ガソリン残量など、さまざまなデータを複合的に判断する必要があって、最適化するには相応のリテラシーが求められると思います。そこをシステムが行ってくれるのは大きいですね。


コネクテッドカーによるライフスタイルの変化について語る北川氏

 たとえば、旅行先で急に宿を手配したいとなったときに、一番近くて、一番安くて、乗車人員を自動で把握して、その人数で夕食付きのプランが予約できる宿の候補を過去の宿泊履歴をも参考にしながら、提案してくれたり予約してくれたら面白いですね。

北川氏:加えて、興味深いのは移動のデータを収集すると一番見えてくるのが、実は“移動していないときの情報”だということなのです。

 たとえば、ある駐車場に停めたときには車がどこにいるのかを把握できるので、私たちは物流企業向けに、倉庫のどこに何を優先的に運ぶと最適化されるのかといった仕組みを開発したりしています。“なぜ停まっているのか”を分析することで、そこから新しいサービスが見えてくるのではないでしょうか。

 ほかにも、主婦の方で平日にあるスーパーマーケットを頻繁に利用しているのに、ある日から利用しなくなってしまったとします。駐車データから理解できるわけです。その理由を分析すると、その人が別のスーパーマーケットを利用するようになったなどのインサイトが見えてくるわけです。移動のデータを取っていると、どこにどれだけ駐車=滞在したかなど移動以外のデータが可視化できるのです。

川路氏:どこに立ち寄っているかなど利用者のライフスタイルに関する情報が見えてくると、とても面白いですね。

北川氏:ある国では、センサが車の利用状況を把握して、車に乗っていない朝の時間帯、つまり電車などで通勤している時間帯に、交通系カードにチャージするといったケースもあるようです。車の移動データを取ると、動いていないという事実から別の事実が見えてくるので、利用者のライフスタイルを複合的に推察していけるという点は興味深いですね。

川路氏:ちなみに、センサで乗車人員などは把握できるのでしょうか。

北川氏:サービスにはスマートフォンを活用しているので、乗車している人がそれぞれスマートフォンアプリを使えば把握はできます。またドライブレコーダーと連携して乗車人員を把握するといった技術も開発しています。

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