BroadcomのQualcomm買収が実現していれば、テクノロジ業界史上最大の取引になっただろう。また、自動車からテレビのセットトップボックス(STB)まで、あらゆる製品向けのプロセッサを製造する巨大チップメーカーが誕生していたはずだ。
それはあまり良いことではないだろう。
ABI Researchのアナリスト、Stuart Carlaw氏は次のように語った。「買収で誕生したはずの合併企業は、位置情報技術、Wi-Fi、Bluetooth、無線ハードウェア、自動車用半導体など、幾つかのコア市場で危険な支配的地位を占めていただろう」
最高経営責任者(CEO)のHock Tan氏率いるBroadcomが、Qualcommの積極的な5Gへの投資を減速させるかもしれないという懸念もあった。
「Broadcomには過去に技術的進歩に投資した歴史がない。Qualcommは常に投資してきた。QualcommがBroadcom傘下になれば、イノベーションへの道が閉ざされる懸念があった」(Creative StrategiesのMilanesi氏)
Broadcomは7日、米国を5Gの世界的な先導者にするため、米国のエンジニアを育成するための15億ドル(約1600億円)のファンドを立ち上げると発表した。
Broadcomはその取り組みを発表する声明文で、「BroadcomはQualcommが5Gと将来の無線標準の改革に投じている研究開発リソースを継続するだけでなく、米国に欠かせないこれらの重要な技術への研究開発投資に注力する計画だ」と語った。
Gartnerのアナリスト、Mark Hung氏は、5Gはいずれの企業にとっても重要な技術なため、Broadcomが取引完了後に5Gへの投資を減らすことはなかっただろうと語った。
米国の通信キャリア各社は特に5Gに積極的だ。AT&TとVerizonの両社は、2018年内に何らかの形で関連サービスを立ち上げると宣言し、SprintとT-Mobileは2019年までに5Gを市場に提供するとしている。同様に、中国や日本、平昌オリンピックの選手村で5Gをテストした韓国の通信事業者も5Gをリードしたいと考えている。
Qualcommが既に様々な通信キャリアや端末メーカーと多数の5Gテストを実施してきたことを考えると、同社を独立した企業として存続させることが5G技術にとって最善だろう。
Moor Insights & Strategyのアナリスト、Patrick Moorhead氏は「QualcommがBroadcomに買収されなかったことは、5G開発を加速させることに繋がるので良いことだ」と語った。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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