2017年のモバイル見本市「Mobile World Congress」(MWC)では、当時Verizonの情報技術チーフアーキテクトだったRoger Gurnani氏がサムスンのイベントに登壇し、両社が取り組んでいる5Gの開発について語った。
Gurnani氏は、このとき進んでいた実地試験について語り、サムスンの5G対応スマートフォンが1年後には出るかもしれないと、気を持たせる言葉でしめくくった。同氏がどこまで本気だったかは定かでないが、隣にいたサムスンの幹部は驚きの表情だった。
それから1年が経ち、2018年のMWCが先週開催されたが、1つだけ確かなのは5G対応スマートフォンがまだ存在しないという事実である。
5Gは、次世代の無線技術とうたわれ、従来より大幅に高速で反応も速いと期待されている。確かに、自動運転車、遠隔医療、「モノのインターネット(IoT)」と呼ばれる流行のデバイス各種など、使い方によっては人の生活を変える可能性も秘めている。
だが今のところ、それは期待だけで終わっている。米テキサス州ウェーコの人気ショッピングセンター「Magnolia Market at the Silos」では、AT&Tが5Gの試験サービスを実施している。そうした少数の特別な町に住んでいるのでない限り、5Gの超高速技術は文字でしかお目にかかれない。
MWC 2018では、5Gが宣伝文句から現実へと着実に進歩しているという良い知らせもあった。VerizonとAT&Tは2018年に限定的な5Gサービスを開始する予定であり、T-Mobile USとSprintも2019年早々に商用サービスを開始すべく準備を進めている。電話機メーカーと半導体メーカー各社は、2019年からデバイスを提供できるよう取り組んでいる。
悪い知らせもある。5Gが登場する最初の段階では産みの苦しみが予想され、脅威の速度という約束も、順調には進まない、あるいはまったく実現しないかもしれない。MWCでネットワークの専門家たちに聞いた話を踏まえて、キャリア各社が最終的に動き出したときモバイル5Gがどうなるかという業界の予測を紹介しよう。
MWC 2018では、米国のキャリア各社が5Gをめぐる競争で有利な立ち位置を獲得しようと競い合っていた。最先端のネットワークが次の大きな焦点になっていることから、どのキャリアも躍起になって、サービス品質に関する評価を高めようとしている。サービス品質が、そのまま消費者の動向につながると考えられているからだ。
Sprintの最高経営責任者(CEO)Marcelo Claure氏は、最初の米国全土の5Gネットワークを2019年前半には構築すると約束している。2018年には、その実現に向けた大きい一歩として、アトランタ、シカゴ、ロサンゼルスを含む6都市で5G機能の提供を開始する予定だが、Sprintのユーザーが5Gを利用できるのは、サービスが始まる2019年になってからである。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス