KDDIは3月9日、トヨタ自動車、JapanTaxi、アクセンチュアと共同で、AIを活用したタクシーの「配車支援システム」を開発し、東京都内で試験導入を開始したと発表した。
このシステムに使われるタクシー需要予測技術は、AI(人工知能)を活用して、東京都内500mメッシュごとのタクシー乗車数を30分単位で予測するもの。4社は同システムによってタクシーの利便性が高まるほか、新人タクシードライバーの研修ツールなどとしても活用できると考えているという。
タクシーに搭載されたタブレットの地図上には、予測されたタクシー乗車数だけでなく、周辺の直前の空車タクシー台数も同時に表示されており、ドライバーは需要と供給のバランスを見ながらタクシーを運行可能。これにより、需要が大きいものの空車タクシーが少ない場所に車両を集めることができ、利用者の待ち時間を減らせるだけでなく、車両の最適な配置によってタクシーの乗車率を向上することも可能だという。また、営業成績の良いドライバーの知見に基づいた「お客様を見つけやすい走行ルート」のデータを、ドライバーはタブレット上で受け取れる。
さらに、タクシー運行実績や人口動態予測だけでなく、タクシー需要への影響が大きい気象、公共交通機関の運行状況、大規模施設でのイベントなどのデータをAIに取り込み、需要の大小に応じた複数の学習モデルを適用。このタクシー需要予測技術の精度を東京都内で検証した結果、正解率94.1%の精度を実現できたという。
4社は、2月から同システムをタブレットに実装し、JapanTaxiの関係会社である日本交通のタクシー数台に試験導入することで、実環境での有効性を検証していた。その結果、実際に同システムを利用したドライバーの2月の売り上げが平均で前月よりも1日あたり20.4%増え、ドライバー全体の増加率9.4%を上回る成果がでているという。
今後は、順次試験導入するタクシーを数十台に増やし、2018年度中の実用化を目指す。また、タクシー車両向けに順次搭載を拡大していく通信型ドライブレコーダー「TransLog」から収集される「走行画像」の解析結果と、タクシー需要の相関関係の研究も進め、同システムに活用することも検討する。
なお、各社の役割として、KDDIは同社が保有する位置情報ビッグデータを活用した、移動や滞在などの人の動きを加味した人口動態予測技術の開発および、予測情報を提供。トヨタ自動車は、収集したビッグデータの加工・分析をモビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)で行い、タクシー需要の予測情報をJapanTaxiに提供。さらに、気象、公共交通機関の運行状況、大規模施設でのイベント情報などタクシー需要に影響するデータを確保する。
JapanTaxiは、タクシードライバー向けタクシー需要予測情報の配信アプリを開発するほか、タクシー会社を通じたタクシー運行実績、空車タクシーの位置情報、顧客を見つけやすい走行ルートの収集および、提供を担当する。アクセンチュアは、他3社と共同で要件を定義しタクシー需要予測エンジンのAI分析アルゴリズムを開発する。
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