1月末に日本における2018年事業戦略を発表したリターゲティング広告事業者のCriteo。同社は2月1日に、日本や台湾、インド、オーストラリアなど、アジア太平洋地域(APAC)メディア向けのプレスカンファレンスをべトナム・ダナンで開催。その中で、マーケットプレイス向けの新サービス「Criteoリセラープログラム」の提供を開始したことを発表した。
リセラープログラムは、顧客1人ひとりの興味、関心に合わせたレコメンデーション広告を配信する「Criteoダイナミックリターゲティング」を、マーケットプレイス運営企業が個々の出店者に対して提供できるようになるサービス。APIで提供されるため、マーケットプレイス運営者による特別な技術開発などは不要だという。
マーケティングの店舗別に独自の広告商材を設定・配信できるため、それぞれの予算・配信管理が可能になることが特徴。これにより、Criteoが生成していたレコメンド枠のアルゴリズムに、店舗ごとの予算とCPC、ユーザーデータが加味されるようになり、より店舗ごとの目的に沿うプロモーションが実施できるようになるという。
これまで、Criteoにリターゲティング広告を出稿するには、店舗側に一定のユニークユーザー数が必要だったため、小規模なオンライン個人店舗では出稿が難しかった。新たに提供するリセラープログラムでは、個人店舗もマーケットプレイス全体の購買に至るまでのデータを活用してリターゲティング広告を配信できると、Criteo 国内セールス部門統括コマーシャル・ディレクターの小野良一氏は語る。
「リセラープログラムは、マーケットプレイス、リセラー、消費者の3者にメリットがある仕組み。リセラーは広告出稿するためのハードルが下がるほか膨大なデータを活用できるようになり、マーケットプレイスは全体の売上げが上がる。消費者はこれまでCriteoに出稿できなかった小規模な店舗の商品にも触れられるようになる」(小野氏)。
リセラープログラムは、主にAPAC向けに開発されたサービスだという。APACにおけるEC販売額は2021年までに3兆米ドルを超え、域内全体の小売り額の25%超を占めると予想されており、今後さらなる成長が期待されているためだ。また、APAC全域で見ると、買い物客10人のうちほぼ6人がマーケットプレイスで商品を購入しているという調査結果もある。実際、同社にとって日本は世界で2番目に売上げの高い市場なのだという。
CrateのGlobal Sales EVPであるGregory Gazagne氏は、日本のヤフーが運営するマーケットプレイス「Yahoo!ショッピング」が、世界に先駆けて同プログラムを導入した事例を紹介。導入後短期間で1800以上の出店者がダイナミックリターゲィングを個々のキャンペーンとして活用し、結果的にマーケットプレイス全体の売上が69%増加したとアピールした。今後はより多くのマーケットプレイスにも展開したい考えだ。
またGazagne氏は、このリセラープログラムが、同社が構築するオープンなマーケティングエコシステム「Criteo Commerce Marketing Ecosystem(クリテオ・コマース・マーケティング・エコシステム、以下:CME)」ビジョンにおける大きな一歩になると話す。
同社は、1万7000社以上の広告クライアントと、1000社以上のメディアからなるネットワークを構築しており、月間12億ものユーザーデータを保有する。また、CME上での取扱高は5500億ドルにもおよぶという。
Gazagne氏は、これらの膨大なユーザー行動データをCMEに参画する企業に、オープンかつコラボレーション可能な状態で提供することで、店舗は消費者により質の高い広告を配信できるようになると説明。アマゾンやアリババといった“ECの巨人”にも負けない売上げや価値を、CMEに集約したデータによって提供できるようになると強調した。
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