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「HomePod」がようやく発売へ--出遅れたアップルに残されたチャンスとは - (page 2)

Steve Ranger (ZDNet UK) 翻訳校正: 川村インターナショナル2018年01月26日 07時30分
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 問題はほかにもある。Appleのライバルたちが既に、同社の使う手のいくつかを覚えてしまっていることだ。iPhone(とその後のiPad)が飛躍を遂げた大きな要因の1つに、ほとんど偶発的に生まれたアプリのエコシステムがある。今回、Amazonが最初にそれに着手し、サードパーティー開発者が同社の「Alexa」デジタルアシスタント向けに「スキル」を開発できるようにした。これらのスキルには、便利なものもあれば、取るに足らないものもある。しかし、それが意味するのは、Appleが再びアプリのエコシステムを利用してライバルを追い抜くことはできない、ということだ。HomePodでAppleの「HomeKit」対応デバイスを制御できるようになるが、AmazonもGoogleも既に自社のプラットフォームをサードパーティーのハードウェアメーカーに開放しており、両社のスマートスピーカは幅広いスマートホーム機器やIoT機器を制御したり、操作したりできるようになっている。

 もしかすると、Appleは、HomePodがユーザーの内に潜む音楽通の精神に訴えかけることを期待しているのかもしれない。音楽好きな人なら、HomePodがiPhoneと同じ「A8」チップを搭載しており、それをリアルタイムの音響モデリングやオーディオビームフォーミング、マルチチャンネルのエコーキャンセル機能に使用することの価値を理解できるだろう。しかし、そうした高級な音質や空間認識を利用するには、349ドル(約3万8000円)という多額の出費が必要になる。

 それでも、HomePodは市販の最も高価なスマートスピーカではない。米国ではGoogleの「Home Max」が399ドル(約4万3000円)で販売されている。だが、価格が低下している市場において、HomePodは高価な製品だ。Appleは、2台のHomePodを同じ部屋に設置すると素晴らしい音質になることも宣伝している。だが、2台で700ドル近くかかってしまうことを考えると、多くのユーザーが自分でその音質の違いを確認できるようになるのは、かなり先のことになるかもしれない。

 さらに、この価格設定のせいで、家中にHomePodに設置したければ、競合製品よりはるかに多くの資金が必要になる。Amazonの「Echo Dot」の定価が約50ドル(日本価格:税込5980円)であり、それより安く売られる場合もあることを考えると、なおさらだ。HomePodは気軽に使い捨てられるIoTデバイスというより、むしろHi-Fiシステムという位置付けである。


プライバシーを武器にする手も

 上記のことを考えると、Appleがスマートスピーカ市場で成功を収めるために残された方法は1つ、と筆者は考えている。具体的には、プライバシーを最大限に優先することだ。Appleにはそれができる。なぜなら、同社のハードウェアの利幅は競合他社よりはるかに大きいからだ。一方、同社の主なライバル各社は、自社の低価格デバイスから発生するユーザーインタラクションをビジネスチャンスに変えている。Amazonは、ユーザーがEchoを通してより多くの商品を購入することを期待し、Googleはユーザーに、より多くのターゲット広告を配信することができる。プライバシーへの配慮は、AppleがiPhoneで用いて大きな成功を収めた戦術である。そのことは、例えば、同社が「iMessage」でエンドツーエンドの暗号化を使用していることを見てもよく分かる。

 常時オンのマイクを搭載するデバイスを自宅やオフィスに何台も設置することについて、不安を覚える人も多い。それらのデバイスによって収集されるデータが何に使われるのかを完全には把握できないことを考えると、特にそうだ。Appleには、iPhoneとiPadの巨大なユーザーベースが既にあるというアドバンテージがある。そして、競合製品が低価格であることは、Appleに有利に働くかもしれない。ひとたび自分のお気に入りのベンダーの製品が発売されたら、消費者は気まぐれで購入した100ドルのデバイスを喜んで手放そうとするかもしれないからだ。

 既存企業がより低価格の製品を提供する市場に打って出るAppleには、厳しい戦いが待ち受けている。だが、Appleが競合各社よりもうまくプライバシーを守れることを十分な数のユーザーに納得させることができれば、同社は今からでも、プライバシー意識の高い高級製品というスマートホーム市場の一角を奪えるかもしれない。Appleは、この分野への参入が遅れたかもしれないが、チャンスはまだいくらか残っている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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