12月5日〜12月11日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。
AppleのJony Ive氏は現在「デザイン最高責任者」(Chief Design Officer)として、役員のリストに名を連ねている。この役職は2015年に、Tim Cook体制の元で新たに設けられた役職だった。そのIve氏が、再び、製品のデザインを直接統括する職務に復帰した、というニュースがBloombergから出された。
これはどのような意味を持つのだろうか。
Ive氏は1992年にAppleに入社し、Steve Jobs氏がCEOに復帰する以前から、Appleのインダストリアルデザインチームを率いてきた。
1997年のJobs氏復帰後からAppleを立て直し、世界トップの時価総額を誇る企業へと押し上げる原動力となった製品を生み出しながら存在感を大きくしていった。Ive氏は5000件以上の特許を保有している。
Ive氏は2015年のCDO就任で、インダストリアルデザインからApple全体のデザインを担当する役職に就き、新製品のデザインを紹介するビデオでは製品に関しては直接担当していなかった。工業デザインとソフトウェアデザインの日々の業務は、Alan Dye氏とRichard Howarth氏が担当し、彼らはTim Cook氏の下に位置づけられていた。
2015年のCDO就任で新たにIve氏が担当していたのは、Apple Parkや新しいコンセプトのApple Storeだった。Apple Parkは2017年4月から使用を開始し、iPhone X発表イベントでプレス向けに公開したことも記憶に新しい。また11月には一般の人がApple Parkを楽しめるVisitor Centerもオープンした。
Apple Storeについては、2016年5月にサンフランシスコにオープンしたApple Union Squareを皮切りに、新しいコンセプトの店舗の新オープンや改装が進んでいる。
Apple Storeはこれまで、製品の展示と販売、サポートが主要な役割だった。新コンセプトの店舗には、季節やテーマごとにアクセサリをキュレーションするアベニュー、モバイルデバイスに適した新しいスタイルのサポートコーナーとなるジーニアスグローブ、無料Wi-Fiが利用でき一般開放されているプラザ、そしてToday at Appleプログラムによる学びの提供の場フォーラムが設けられた。
Apple ParkやApple Storeで、Ive氏は、100%再生可能エネルギーを実現するエネルギー効率の高さを実現しながら、職場や体験の場を作る仕事に携わってきた、と考えられる。
そのIve氏が、再び製品のデザイン統括の仕事に復帰した、ということが注目点だ。つまり、ここ数年のiPhoneの実現には、もちろんIve氏の描くコンセプトは反映されてきたはずだが、細部に至るまでを100%見てきたわけではなかった、ということだ。
Appleは2016年に登場させたiPhone 7を、iPhone 6/iPhone 6sシリーズと同じデザインとし、それまで保ってきた2年ごとに新しいデザインを実現するというサイクルを破棄している。そして2017年に、全面ディスプレイのiPhone Xを登場させ、これまでのiPhoneのフォームファクターとなっていたホームボタンを取り去った。
後から振り返ってみれば、2014年登場のiPhone 6シリーズのデザインでiPhoneのデザインを3年間停滞させることに成功しており、ちょうどIve氏が製品以外のデザインに取り組んでいた期間に重なる。若干深読みすると、2015年のIve氏のCDO就任のタイミングで、iPhone Xまでのプランができていたことがうかがえる。
J・アイブ氏、アップルのデザインチームを再び統括か(12/11)Appleは先週、通知のバグに関連して再起動を繰り返す問題や、iPhone 8シリーズ、iPhone Xで高速ワイヤレス充電に対応するiOS 11.2をリリースした。多くのユーザーは再起動を繰り返す問題が改善したと言うが、筆者の手元のiPhone 8、iPhone Xは引き続き、再起動を繰り返す問題を抱えたままだ。
加えて、iPhone XでFace IDが利用できなくなる問題が生じているユーザーも、Twitterなどで多く報告されている。解決方法は、iPhone Xを一度再起動すれば良いようだ。
また、現在公開されているiOS 11.2に、HomeKit接続デバイスを不正に外部から操作できる脆弱性が含まれているという報告もあった。この問題の修正は、12月11日の週のアップデートで改善されるとしている。
iOS 11では、日々の利用に直結するバグが目立ち、Appleはその修正に追われている。それでも、iOSの最新バージョンの普及は、Androidを上回る速度で進行中だ。
Appleの開発者向けサイトによると、iOS 11普及率は59%に進行したという。1つ前のバージョンのiOS 10は33%、それ以前の古いiOSは8%という分布だ。これまでのiOSに比べると、若干遺構はゆっくりとした進行を見せる。その理由は、iPhone 5sより古いiOSで利用できなくなっている点、またiPhone 6sより古いiPhoneでは、目玉機能が利用できない点などがある。
iOS 11は9月下旬にリリースされた。開発者にとっては、拡張現実アプリを実現するAR Kitや、機械学習処理をアプリに取り入れるCoreMLを活用することができるようになる。いずれも、AppleがiPhoneの未来像として注目している分野だった。
「iOS 11」の普及率が59%に(12/7)Appleは購読型音楽サービスApple Musicの立ち上げのため、Beatsを買収したことはよく知られている。
Beatsは米国でも最も人気のあるオーディオブランドの1つだったが、同時に音楽ストリーミングサービスを提供しており、買収から1年でApple Musicとしてサービスを開始した。Beats製品はヘッドホンも音楽サービスも、Appleのポートフォリオにおける「その他の製品」と「サービス」部門の売上に貢献している。
AppleはApple Musicを引き続き成長させるべく、2つの企業の買収が報じられた。1つは、Podcastの検索サービスを提供するPop Up Archive。もう1つは、世界で10億ダウンロード以上を達成している著名音楽検索アプリShazamだ。それぞれのアプリが似ているのは、いずれも、Appleの音声・音楽系のサービスの検索に直結する点だ。
Pop Up Archiveは、「Audiosear.ch」といわれるサービスを提供してきた。音声が記録されたオーディオファイルの文字化や整理を行い、ユーザーが検索できるものだったが、同サービスは11月28日に終了している。
AppleがPop Up Archiveをどのように活用するのかは明らかにされていないが、現在Appleが提供しているPodcastアプリで、トークの内容に踏み込んで検索可能にしたり、そのキーワードが発言される箇所を再生する機能を実現したりできるようになるはずだ。
一方のShazamは、App Storeでも常にランキングに入っている人気の音楽認識・検索アプリだ。店舗やテレビで流れている音楽を数秒聴かせることで、その曲名・アーティスト名を表示し、iTunesやApple Music、Spotifyなどの音楽サービスへのリンクを提供する仕組みだ。
Shazamはこれまで、iPhoneやApple Watch、Android向けにアプリを提供しており、iOS 8以降、Siriの音楽検索ではShazamのエンジンを使用してきた。競合にはSoundHoundやGoogleが提供する音楽検索がある。
Shazamが検索技術を重視するのか、音楽サービスの側面が重視されるのか分からないが、たとえばAppleがiTunesやApple Musicの検索に統合するなど、Apple Musicでの音楽再生を促進させる役割を担わせる可能性は高いだろう。
アップル、ポッドキャスト検索を手がけるスタートアップPop Up Archiveを買収(12/6)Appleは2017年の世界開発者会議WWDCで、Apple TVに対して2017年内に、Amazonプライム・ビデオのアプリを配信することを約束していたが、ついにアプリが配信され始めた。
Apple TVのApp Storeでは、さっそくAmazonプライム・ビデオが特集されており、検索しなくてもすぐに見つけ出すことができる。
Amazonプライム・ビデオは、配送料などの優遇がある年間購読型のAmazon Prime会員に対して、多くのコンテンツを無料で提供しており、その中にはアカデミー賞ノミネート作品を含むオリジナルコンテンツが多数提供されている。
現在、Appleも含め、各ストリーミングサービスが独自コンテンツの制作に取り組んでおり、テレビ視聴にも大きな影響を与えるようになった。しかしApple TVでは、既に提供されているNetflix、Huluの視聴しかできなかった。
Amazon Primeは、米国のみならず、日本でも、Amazon Prime会員に付随してくることから、人気のあるストリーミングサービスとなっていた。GoogleはAmazonとの対決姿勢を明確にしており、Amazon Fire TVからYouTubeアプリを取り下げ、またGoogle ChromecastではAmazonプライムビデオアプリを提供していない。
そのため、今回のAmazon対応によって、Apple TVは、Rokuとともに、最も充実したストリーミングデバイスとなった。Rokuが販売されない日本では、全てのストリーミングを楽しみたければ、Apple TVのみが選択肢となる。
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