Amon氏によると、前回と違う点はデバイス自体だけではないという。モバイルプロセッサがより高性能になり、人々もクラウドコンピューティングに慣れて、デバイスにデータを保存するのではなく、インターネット上でデータにアクセスするようになっている。「Googleドキュメント」や、「iCloud」に保存された写真を思い出してみればいい。
「期待されていることが、今は明確になっている。以前からすれば、大きな変化だ」(Amon氏)
Snapdragon搭載の新しいPCは、一部の購入層には魅力的かもしれないが、欠点がないわけではない。想定されている主な用途は、ウェブ検索、ソーシャルメディアの利用、メールチェックや動画などのコンテンツ再生だ。写真の加工や、負荷の大きいゲームをプレイするのには適していない。
Qualcommは、さらに多くのデバイスに無線接続の機能を内蔵しようと努めている。タブレットがLTE対応になれば、Wi-Fiを拾うまで待つ必要もなくなる。だがそれは、新しいセルラー契約の追加が必要になるということでもある。消費者が決して歓迎しない点だ。
Creative Strategiesが実施した調査によると、回答したiPadユーザーのほぼ半数が、購入時に値段の高いLTE版を選んでいる。だが、そのうち実際にiPadでLTEをオンにしているユーザーは、49%にとどまるのだという(要するに、iPadでLTEを利用しているのは4分の1にすぎないという計算になる)。
実際にiPadでLTEを設定した層にしても、「主に安心感のため」であると、Creative StrategiesのアナリストCarolina Milanesi氏は分析している。
スマートフォンを契約すると、他のデバイスでもWi-Fiを共用できるモバイルホットスポットを使える場合が多い。従って、コンピュータやタブレットに内蔵されているモデムは、それほど重要ではなくなる。PCにネット接続機能が不可欠ということになったら、Intelも自社製の4G LTEチップをコンピュータに組み込もうとするはずだ。
MicrosoftとQualcommは、今度のデバイスで「完全版のWindows」を使えると強調するが、この点にも注意が必要になる。
新しいデバイスで動くWindowsのバージョンは「Windows 10 S」であり、これも機能には制限があるからだ。例えば、Microsoftの「Windows Store」以外からダウンロードしたアプリケーションは実行できない。また、Snapdragon搭載のデバイスで従来のWindowsアプリケーションは実行できるものの、エミュレーションというプロセスで実行されるため、場合によっては動作が遅くなる可能性がある。
Microsoft、Qualcomm、そしてPC各社の売り文句としては、Windows 10 Sの方がよりセキュアだという。Windows Storeで公開されるアプリケーションはすべてMicrosoftの承認を経ており、マルウェアなどの問題が起きにくい。
こうなると、スマートフォン風PCが眼鏡にかなうかどうかは、消費者の判断次第ということになるだろう。
Technalysis ResearchのアナリストであるBob O'Donnell氏は、次のように述べている。「問題は、(これらの新デバイスが)予想される懸念点を補うくらい良くなっているかどうかだ。長所と短所の折り合いが、Windows RTのときより注目すべきポイントになっている」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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