マスコミでは自動運転車の出品が相次いでいると報じていても、実際に一般来場者として訪れてみても、言われるほど実感しないのが自動運転だ。ショーという特性から、自動運転で動き回るクルマは見られないほか、実際に乗って体験するブースもほとんどない。「このクルマには自動運転が入っています」と言われて、ああそうですか、と頭で理解するしかないのが現状だ。
コネクテッドカーをVRで体験する「THE MAZE」という出展も西4ホールにあるのだが、並ぶ時間がかかるなど見学を断念せざるを得ない場合は、メーカーよりもサプライヤーなどを見ていただきたい。
最終的にクルマを展示しているわけではないが、自動運転には何か必要かをわかりやすく展示したり、自動運転のためのカギとなる部品を展示したりしている。一昔前はセンサや3D地図といった課題が言われていたが、現実化してくるなかで、今、注目されているのは「コネクティビティ」なのだ。便利機能だけでなく、クルマ内の各センサをはじめ、インターネットとどう確実に通信するかも注目が集まっている。
現在のクルマは車内に「CAN」と呼ばれる規格で制御装置同士を自動車専用ネットワークで結び、クルマの制御に活かしている。その結果、「OBD2」と呼ばれる元々は検査用のコネクタに機器を接続して、クルマからさまざまなデータを引き出して活用するということが行われている。速度やエンジンの状況、燃料消費量などが簡単に引き出せるので驚いた人もいるだろう。
しかし、CANでは速度やセキュリティの面で問題がある。OBD2コネクタでCANのデータを簡単に引き出せるということは、逆に言えばネットワークに入り放題。もし、ブレーキやアクセル、パワーステアリングの指示がCANに流れる際、偽のデータで混乱させてしまえば、クルマが勝手に動いたり止まったり曲がったりという乗っ取りができてしまうことになり、非常に危険だ。
そして、自動運転をする際には、クルマの四方八方についたセンサやカメラのデータを常に伝送して分析するということしなければならない。そのためには今のCANでは完全な伝送速度不足で、これをイーサネットに置き換えるという動きがある。イーサネットになることでインターネットとの親和性も高くなり、セキュリティ対策も施しやすくなる。自動運転に向けて変わらなければならないところだ。
こういった自動運転や電動化の話は、サプライヤーのブースで聞くことができる。電動化、自動運転、コネクティビティなど、よくわからなければ、説明員に質問をぶつけてみるのも面白い。こういったサプライヤーは東6ホールにデンソーや日立オートモティブ、三菱電機、矢崎総業などが集中している。そして、現在のいわゆる自動ブレーキで日本でも勢力を拡大しているドイツのコンチネンタルは通路を挟んだ東3ホールだ。
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