ビットコインがまたも分裂--新生「ビットコインゴールド」の正体 - (page 2)

カワノサトシ2017年10月24日 12時00分

BCH・B2Xとの相違点

 ここで、BTG以外のBTC派生コインについても少し触れておく。

 前述の通り、BTG、BCH、B2XのどれもがBTCのスケーラビリティ問題を解決する試みだが、技術的な解決のアプローチは全く異なっている。

  • BCH(2017年8月):ブロックサイズ(1ブロックに含むことのできるデータ量)を増やす
  • BTG(2017年10月):マイニングを簡単にして、一定時間内に取引を処理できる人数を増やす
  • B2X(2017年11月予定):Segwit(一回の取引に係るコストを減らす)を行いつつ、ブロックサイズを増やす

 なお、スケーラビリティ問題の解決について現時点で絶対的に正しい解答は存在しないため、上記の全てが問題解決のための最良の解となり得るし、どれが間違っているということでもない。どの手法が最適かは、今後市場で決まっていくだろう。

 取引所での取り扱いの観点からは、また別の議論も存在する。

 BCH、BTGの2つはBTCからハードフォークで誕生したものの、その取り扱いはアルトコインに近いとされておりBTCとの共存も可能と言われている。

 一方でB2Xについては、取引所によってはBTCの正統後継とみなされており、BTCと入れ替わる形での採用も検討されているという。仮に入れ替わりとなる場合には、取引所によって“BTC”が指すものがオリジナルのBTCとB2Xで異なるといった事態が起きる可能性もある。

BTGの問題点

 BTGについては、各取引所も懸念する通り、導入に際してまだまだ不安定な要素も多い。技術面のほか、運用面での心配も存在する。

    技術面
  • リプレイアタック対策は本当に大丈夫か(開発者は対応済との声明発表)
  • Segwitへの具体的な対応方針はどうなっているのか(開発者は対応済との声明発表)
  • ブロックチェーンはスケジュール通り、正しく機能するのか
  • 予期せぬ、又は意図された脆弱性の問題はないか
    運用面
  • プレマイン(非公開環境でのマイニング)で事前にトークンを手に入れた一部のものが、不当に利益を得るのではないか
  • PoWの仕様を変えたこともあり、十分なマイナーが集まるのか

 リプレイアタックとは、ブロックチェーンの技術的特徴を悪用した不正な活動。ハードフォークが起きてブロックチェーンが2本に分岐した際、オリジナルのブロックチェーンで実行した取引と同様の活動が分岐後のブロックチェーンでも起こる(分岐後のブロックチェーンで実行した取引はオリジナルにはコピーされない)。

 これを利用し、以下の行為などを繰り返すことを指す。

  • オリジナルのブロックチェーンで取引所から出金(=分岐後のブロックチェーンでも出金される)
  • 分岐後の仮想通貨だけを別の場所に移す(=オリジナルは移動されない)
  • オリジナルを取引所に再び送金し、再度引き出す(=分岐後のブロックチェーンでも、“残高がなくても”同額の引き出しが実行される)

 いずれもBTGが実装されればある程度判明する点ではあるものの、問題によってはオリジナルのBTCにも影響する可能性があるため、各取引所の発表、開発者の発表には今後も注意を払う必要がある。

各取引所の取り扱いと今後の動向予想

 BTGの取り扱い予定についてだが、10月23日現在、BTGを取り扱う可能性があると表明している国内の取引所は以下などがある(例示的に列挙)。なお、BTGを付与し上場する可能性がある、BTGを付与する可能性はあるが上場は未定、など取り扱いの方針は取引所によって差異がある。

    国内取引所
  • bitFlyer
  • Coincheck
  • GMOコイン
  • Bitpoint
  • BTCBOX
    海外取引所
  • HitBTC
  • Bittrex
  • BitStar
  • Beatcoin
  • BitBay
  • Abucoins
  • Paribu
  • Bitcoin India
  • Guardaなど

 すでにBTGの分岐は開始されているが、BTG付与の時期、条件などは各取引所の発表を参照されたい。

 最後にビットコインの今後の動向について、私見を述べる。

 前回のBCHのハードフォークに際して「タダでトークンが付与された」こともあり、ここ数日は二匹目のドジョウを狙った投機的な資金が流入、ビットコインの価格がこれまで以上に加熱感を帯びてきているようにも思われる。

 筆者としては仮想通貨の益々の発展を希望していることもあり、多少の乱高下があろうとも仮想通貨を持ち、応援し続ける意向に変わりはない。しかし同時に、ビットコイントレード自体はまだまだ未熟な市場であり、たとえば株式市場などに比べてはるかにリスクが高いことも疑いないと考えている。

 今日これからビットコインの購入を検討している読者がいるとすれば、筆者として止めることも勧めることもしないが、きちんと自身で判断し、責任を持つと決めた上で投資するかどうか判断してほしい。 適切な理解と期待感の中であれば、仮想通貨市場はまだまだ飛躍的に伸びていくと信じている。

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