――iPhone Xは高価なデバイスになりましたし、今のところ画面表示やFace IDに利用している立体センシングの技術は一般的なiPhoneでは当面利用できないでしょう。開発者たちはこの提案に追従してくれるでしょうか?
アップルの場合はAPIやライブラリ、クラスがセットになっていて、ハードウェアを意識せずに遊べますから、きっとついてきてくると思います。サンプルコードやツールが充実してくれば盛り上がってくるのではないでしょうか。
――2018年のWWDCでは、開発周りで何か新しい提案があるかもしれないですね。開発者たちを引きつけておいて、iOS12向けに新しいクラスを提供するなどして、iPhone 8シリーズの次ではiPhone X以外として初めてFace ID対応するなど、ハードウェアと基本ソフト、開発環境を一社で賄っているアップルらしい展開はあるかもしれません。
サムスンも独自機能に対してAPIを提供している部分もありますが、機能として実装したものは作り込んでもプラットフォームではなくアプリに近いところに入るものです。アップルの場合は、そのあたりを統合的なアプローチで提供し、プラットフォームにできるので世界観は広げやすいでしょう。2018年以降、iPhone Xはもっと面白くなっていくのではと期待しています。
――今回、Apple Watch series 3にカテゴリ1のLTE通信機能が入りました。Android WearもLTE対応は発表済みですし、今回の製品をきっかけにスマートフォンを中心にした機器の広がり方は変わりそうですね。
携帯電話のネットワーク技術は、4Gまでは進む道がハッキリしていたので投資に迷う必要はありませんでした。技術的な準備ができたらデータ帯域に対するニーズがハッキリしているので次々に投資をしていけば、ユーザーは次々にその帯域を使ってくれます。しかし5Gの普及までには、少し間が空きますから、その間に何をすべきなのか、どうトレンドが動くのか読みにくいところがあります。
僕はその間をつなぐのが、IoTへのLTEの組み込みだと考えています。カテゴリ1のLTEやNarrowBand LTEなどの省電力で低コストな普及しやすい通信技術を用いて、今後さまざまな製品にLTEが組み込まれ、新しい応用が生み出されると思います。
ただ、そういった世界ではスマートフォンのような絶対的なデバイスを汎用的に使うという用途ではなく、保険事業ならば保険事業でどう使うべきなのか、たとえば料金のチャージにしても個々のIoTから少額を集めるためにFinTechを用いるとか、本業とは別の部分でいろいろなユースケースを学んで、そこからどんな応用ができるのかを考えておかないと事業化なんてできません。ですから、スマートフォンやLTEネットワークの強化、5Gへの準備投資も行うのですが、それと同時にさまざまなジャンルへのトライアルを並行して進めています。
話をiPhoneに戻すと、iPhone Xでアップルが端末に内蔵するセンサを強化してきた。これでさらに応用範囲が広がり、今までなかったようなアプリが出てくるかもしれない。スマートフォンに内蔵するセンサを強化すれば、まだ進歩できる可能性がある。それを実践して見せようとしているという気付きを世の中に与えたことは大きいと思います。
――冒頭でiPhoneはもっとも日本人に受け入れられているスマートフォンという話がありましたが、今年も商戦期が始まる一方、iPhone Xをはじめ新モデルはいずれも高価な製品です。高額端末を買いやすくするためさまざまなプランを各社練ってます。KDDIとしてはどう戦っていくつもりでしょうか。
われわれ自身の回線品質を高めていくのは当然なのですが、価格面の対策も重要だと思っています。「auピタットプラン」「auフラットプラン」では、実質負担額を減らすだけでなく、そもそも料金値下げもセットにすることで負担軽減をしました。
新iPhoneでは、auプラットプランの場合、アップグレード期間を半分にしたアップグレードプログラムEXも用意しています。これにビッグニュースキャンペーンを組み合わせると2年で3万8640円の割引きです。
料金プランについて他社も対策を練ってくるだろうと覚悟をしていたのですが、料金値下げにも踏み込んだ分、われわれの方がお得に使っていただけます。自信を持ってお得ですよ、と勧めたいですね。
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