Appleは8月1日に2017年第3四半期決算を発表した。iPhoneの販売が上向き、好決算となり、9月登場とも目されているiPhone 8への期待から、Appleの株価は160ドル台を付ける場面があった。
この決算の中で注目していたのは、iPadの販売台数だ。1142万4000台を販売し、前年同期比15%増。2014年第1四半期を最後に、前年同期割れの販売台数を記録してきたカテゴリの急伸で、Appleのすべてのビジネスカテゴリで、増収を記録した。
カンファレンスコールでは、iPadが過去4年で最大のマーケットシェアを獲得し、6月の米国タブレット市場おいてiPadが55%を占めたと報告した。また、米国の教育市場では前年同期比32%増で、特に活発に動いた。
販売台数やシェアの増加は、Appleが2017年3月に329ドルという低価格で発売した「第5世代iPad」の影響によるものだ。その証拠に、販売台数の15%増に対して、売上高は2%増と、1台あたりの販売価格の低下が観測できるからだ。
iPadのラインアップは、9.7インチの第5世代iPadと2サイズをラインアップするハイエンドモデルのiPad Pro、そして1モデルだけ残された7.9インチのiPad miniという3つの展開となる。中でもAppleが特に期待を寄せているのがiPad Proだ。
iPad Proは当初、9.7インチと12.9インチのラインアップで登場した。このうち9.7インチモデルを廃止し、新たに6月に行われたWWDC 2017で発表したのが10.5インチモデルだ。
本体のサイズは、250.6mm×174.1mmで、旧9.7インチモデルと比較すると、長辺で10.5mm、短辺で4.6mm大きくなった。なお、厚みは6.1mmで共通だ。10.5インチモデルは、これまでよりディスプレイサイズは20%拡大しているが、ベゼルを狭くすることで、大型化を避けていることがわかる。
ディスプレイは600ニト、高色域(P3)をサポートし、反射率1.8%のコーティングと相まって、より高い品質のディスプレイへと進化した。また60Hzのリフレッシュレートを2倍に引き上げ、最大120Hzの可変リフレッシュレート「ProMotionテクノロジー」を採用した。このディスプレイは病みつきになる。
何気ないSafariでのウェブブラウジングであっても、画面のスクロールのスムーズさがこれまでとは違うとわかる。映像やアニメーションの編集を行うプロユーザーはもちろんだが、高いリフレッシュレートは、普段のiPad利用の中でも、一目見るだけで気づくことができる。そして慣れ始めると、比較的スムーズなはずのiPhoneでのスクロールにも不満を覚えるようになる。
ProMotionでは、常に120Hz駆動をするのではなく、コンテンツの種類や動きに応じてリフレッシュレートを24Hzから120Hzまで可変させるしくみで、バッテリ消費を抑える。ユーザーが手動でリフレッシュレートを切り替えることはできない。20%も拡大したディスプレイだが、その動きのスムーズさが目立つ──そんな印象が強い。
iPad ProにはSmart Connectorと呼ばれる3つの接点のコネクタが用意されており、Appleやサードパーティ製のアクセサリを接続できる。
AppleはSmart Keyboardをこれまでも用意してきたが、2017年6月からのシリーズ向けには、英語キーボードに加え、日本語のJISキーボードを含む他言語のキーボードを選べるようになった。
9.7インチモデルと10.5インチモデルのキーボードを比較すると、キートップのサイズは2mmずつ拡大しており、打ちやすさを向上させている。
タッチはこれまでと同じで、浅くペタペタとした感触の中に、ほのかなクリック感を感じる、といった雰囲気だ。同じように浅いMacBookシリーズのキーボードよりも柔らかく、また素材がファブリックであることから、音も小さく抑えられている。
筆者はこれまでの9.7インチiPad Proについても、基本的にはSmart Keyboardを付けっぱなしにし、文字入力手段として、そして時にはスタンドとしても使用してきた。現在のSmart Keyboardは、10.5インチ向けで1万8700円(税別)と高価なアクセサリではあるが、iPad Proをフル活用する上では、必要な出費と言えるかもしれない。
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