オフラインコミュニティでエンジニア育成--「TECH PLAY SHIBUYA」の取り組みを聞く

 パーソルキャリアが運営するイベント&コミュニティスペース「TECH PLAY SHIBUYA」。施設やテレワーク週間「TECH PLAY Work Style Week」での取り組みについて聞いた。

「TECH PLAY SHIBUYA」
「TECH PLAY SHIBUYA」

 この施設は、もともと2013年10月から運営されている、ITイベント情報サイト「dots.(ドッツ)」(現在の「TECH PLAY」)がきっかけ。多種多様なITイベントの開催を経て、2015年8月に、ITイベントなどの開催やエンジニアのコミュニティ形成を支援するために、「dots. SHIBUYA」(現在の「TECH PLAY SHIBUYA」)を開設し、6月14日にリニューアルした。

左から、TECH PLAYコミュニティマネージャーの小沢宏美さん、TECH PLAY プロデューサー鳴釜優子さん
左から、TECH PLAYコミュニティマネージャーの小沢宏美さん、TECH PLAY プロデューサー鳴釜優子さん

 TECH PLAYのプロデューサーを務める鳴釜優子さんは、オンラインだけではなくオフラインでの場となるスペースを立ち上げたことについて、IT系イベントの運営にあたって、課題のひとつに「会場」があったと振り返る。

「当初IT系企業のセミナールームをお借りしていたがが、基本的にセキュリティが厳しいところが多く、また飲食を伴う場合、匂いが気になるという意見もあって、かなり気を使う。そうした使い勝手の悪さや雰囲気作りの難しさを感じていたので、イベントの集客から場所の運営まで、ワンストップでできたほうがいいだろうと思い、2015年に“場”を開設した」(鳴釜さん)

 また近年では、企業側が宣伝のためにスペースを開放し、ビジネス系のイベントを行うなどの事例もあるが、ITテクノロジー関係、個人向けエンジニアを主体にしたものは少ない。コミュニティによる情報交換や、イベントでの登壇による発信によって活躍できるような成長サイクルを提供できる点も、ほかのスペースとの違いという。

 TECH PLAY SHIBUYAに出入りするエンジニアや、サービス開発や事業成長に携わる「テクノロジスト」について、TECH PLAYコミュニティマネージャーとして常駐している小沢宏美さんは、向上心の高い人が多いという。

 「エンジニアの方は引っ込み思案というイメージもあるが、知りたいことのためなら積極的に話しかける、自ら情報を取りに来る方が多く、意外と話し出すと止まらない」と語る。

スペースの一角には土足厳禁というコーナーも
スペースの一角には土足厳禁というコーナーも

 オフラインの場でしか得られないものも多くあり、会話ややり取りを通じて、来ている方たちがお互いを高め合っている。それを支援するべく、「TECH PLAY」ではコミュニティ活動の企画ならびに支援を行っているという。

 そして「TECH PLAYは、一般的な採用セミナーなどよりも、普段会えないような技術感度の高いエンジニアとの接点が持てることから、企業にとっても採用に向けたブランディングツールとして着目されている」と鳴釜さんは語る。

 「エンジニアにしても気質として面白いことをしたい、面白い人と働きたいというように、仕事に対する意思決定の考え方が変わってきている。プロジェクトや優秀な人に接することで次のキャリアを考えてもらえることも意識していく」(鳴釜さん)

 TECH PLAY SHIBUYAでは、テレワーク・デイにちなんで7月18~24日までに「Work Style Week」を実施した。単に作業を行うだけではなくゲストアンバサダーを招いてのランチ交流会や、ピラティスやヨガといったことも行った。

「Work Style Week」のランチ交流会の様子
「Work Style Week」のランチ交流会の様子

 鳴釜さんは、1日だけでは習慣にするのは難しいことから、1週間かけて体験していく期間を設けたほうがいいと考えたことに加え、IT系ではテレワーク、リモートワークは先だって取り入れている企業や個人も多く、いわゆるハードよりもソフトのほうにフォーカスをあて、異業種などとの交流を通じてインプットを、仕事のアウトプットにつなげていくことが重要だと感じて企画したと語る。

 今後について鳴釜さんは「テクノロジストの活躍の場を広げていくのがミッション。新しい働き方もそうだが、コミュニティ活動の充実や、育成やスキルアップを主体にしたコンテンツの提供を通じて、良質なインプットができるようなものを増やしていく。優秀なエンジニアが育てば育つほどビジネスが伸びる環境にもかかわらず、スタートアップも大手企業もエンジニアの採用ができなくて困っている話はよく聞きかれ、有効求人倍率が高い状態が続いており、よりビジネスにコミットしたエンジニアやテクノロジストは、これからますます求められていく。一方で、少子化の問題もあってか圧倒的に足りない。活躍できる人を育てていくことが、日本の成長につながっていくと考えているので、しっかりとコミットしていく」と語った。

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