筆者は先々週、Facebook傘下であるOculus VRのヘッドセット「Oculus Rift」について、当初の価格から半額に下がっても購入は勧めないと主張した。
先週、米CNETが行ったインタビューで、同社の幹部2人から筆者への反論が試みられた。
インタビューは、海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」に出てきそうな中世ヨーロッパ風の大きな木製テーブルを挟んで行われた。2人の説明によると、視線追跡やワイヤレス化といった技術の進歩は、一般に考えられているほど、あるいはBloombergが2018年と報じた予測ほど、早くには実現しないだろうという。
幹部2人は、第1世代の「Oculus Rift」ヘッドセットがしばらく定着すると述べている。
Oculus VRのコンテンツ担当バイスプレジデントを務めるJason Rubin氏は、「今Riftを買えば、これから何年も楽しめる」と述べ、すでに2019年分までゲームのラインアップを計画していると語った。
仮にそうだとしても、「ニワトリが先か卵が先か」という問題が解決されるわけではない。ゲームメーカーはヘッドセットが売れているかどうかを知る必要があり、ヘッドセットの購入を検討しているユーザーはキラーアプリとなるゲームがあるのかを知りたいと思っている。Facebook傘下のOculusは、コンテンツに莫大な額を投じているものの、売り上げで見ると他社の後塵を拝している可能性がある。Oculus Riftの販売台数は最下位という推計もあるからだ。
Oculus Riftの販売数はもう100万台に達したのか。50万台くらいは売れているのか。Rubin氏は答えない。
だが、Rubin氏とOculusの共同創設者Nate Mitchell氏は、20分間のインタビューにおいて、成功への道のりはゆっくりと着実に歩んでいくものであり、すべてはゲームにかかっていると語った。またソーシャルネットワークが、特に「Reddit」が極めて重要な要素になる可能性があるという。
以下では、両氏へのインタビューを編集して紹介する。
--数字は示せないということですが、Riftはあまり売れていないのではないかという印象があります。今回、ここまで大幅な値下げがあったので、飛ぶように売れるのはこれからとも考えられますね。
VRは、普及という点ではどの程度進んでいるのでしょうか。また、VRが一時的な流行でもなく、あなた方や私のような一部のハイエンドコンピュータゲーマーだけのものでもないということは、いつごろ証明できそうでしょうか。
Jason Rubin氏:あなたとはこの話題について2年くらい議論していますね。以前から言っているとおり、VRがメインストリームに乗るにはしばらく時間がかかるでしょう。
Nate Mitchell氏:2年どころではありません。当社の創業より前からです。
Rubin氏:VRを前進させるには、エコシステムとタイトルに対する莫大な投資が不可欠だということも、以前からお伝えしてきました。タイトルは多い方がいいし、良質なタイトルの方がいい。それは当然ですが、理由はそれだけではありません。買って帰った時にたくさんのコンテンツで遊べるように、十分な数のコンテンツを店頭に並べる必要がある、そう固く信じているからです。
初めからそれがわれわれの筋書きでした。ヘッドセットを買ってもらい、ユーザーの意見を聞いて、気に入った点や不満な点を把握する。新しいコンテンツを試し、さらにコンテンツに投資して、もっと大きなコンテンツを作り、先に進んでいくのです。
もちろん、他のハードウェアメーカーは、違う筋書きを描いているでしょう。できるだけ多くをできるだけ早く市場に投入するという筋書きかもしれません。われわれはそうではなく、強固なエコシステム、長期にわたって続くエコシステムを確立しようと考えています。われわれが考えている長期的な展開が、軌道に乗りつつあるところです。
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