孫正義氏が期待をよせる“有望株”--歩行ロボットやガンの早期発見 - (page 2)

血液でガンを早期発見、AIで交通事故防止--ファンド出資企業が登場

 孫氏は、これまでの投資実績も紹介した。1999年から2017年の18年間における同社の累計投資額は110億ドル。それに対してリターン額は約15倍の1750億ドルまで増えており、IRR(内部収益率)は44%におよぶと胸を張る。「我々は単に1回打席でヒットを打ったのではなく、意図して戦略的に何回も打席に立ち、空振りや失敗もしたけれど、当たったヒットの方が大きかった。これは偶然ではなく意図してリスクを取りにいっている」(孫氏)。

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累計投資額の約15倍のリターンを得ていると孫氏はアピール

 そして、この投資の規模やスピードをさらに加速させるために、設立したのが10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドだと説明する。同日には、同ファンドが可能性を見出して出資した、世界中の企業のキーパーソンたちが登壇し、最新技術やサービスを紹介した。

 たとえば、「GUARDANT HEALTH」は血液中の遺伝子情報を解析することでガンを早期発見できるサービスだ。7~10日以下で結果が分かり、費用も従来の検査の3分の1程度で済むという。米国における主要ガンセンターの9割が同社の血液検査を導入しているそうだ。これまでに約4万人の情報を解析しており、さらなる精度向上を目指して5年以内に100万人を検査したいとしている。

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GuardantのCEOであるHelmy Eltoukhy氏

 「Nauto」は、AIによって自動車の安全運転を実現するサービス。自動車の車外と車内に小型のカメラを設置し、車外では前方を走る自動車との車間距離や人が歩いていないかなどを分析。車内では運転手がよそ見をしていたり、居眠りをしていないかを検知して、必要に応じて注意を促す。これにより事故件数を25%減らせるようになるほか、道路の混雑も30%減らせるようになると説明する。

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車内外の様子をモニターし交通事故を減らす「Nauto」

 このほか、LED照明やIoTセンサ、ビッグデータ解析技術などによって、植物工場で野菜を育てる「Plenty」や、自立して動く商用ロボットの“頭脳”を設計・開発してメーカーに提供する「Brain Corporation」、都市などのシミュレーションツールを開発する「Improbable」などが披露された。

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植物工場で野菜を育てる「Plenty」
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Brain Corporationが開発したAI技術を搭載した自動走行する掃除ロボット
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都市などのシミュレーションツールを開発する「Improbable」

 「1つのテクノロジやビジネスモデル、ブランドで世界を牽引するのではなく、同じ志や想いを持っている起業家みんなで力を合わせて革命を起こそうではないか」(孫氏)。

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