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孫正義氏が期待をよせる“有望株”--歩行ロボットやガンの早期発見

藤井涼 (編集部)2017年07月24日 13時25分
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 ソフトバンクが年に1度開催するカンファレンス「SoftBank World 2017」が、7月20~21日の2日間にわたり開催された。初日となる7月20日には、ソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏が登壇し、10兆円規模のファンドである「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が“有望株”と判断して出資をした、世界中の最先端技術やサービスを次々と紹介した。

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ソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏

 孫氏は以前から、コンピュータが人間の脳を上回る「シンギュラリティ(技術的特異点)」がそう遠くない未来に訪れ、その中で重要な役割を担うのがIoTだと語っている。そこで来るべきIoT時代を見越して、モバイルデバイスやウェアラブル端末で高いシェアを誇る英国の半導体開発メーカーARM(アーム)を、2016年7月に約240億ポンド(約3.3兆円)という破格で買収した。

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ARMのCEOであるSimon Segars氏

 孫氏は、ARM買収の際に「これから20年以内にARMは1兆個のチップを地球上にバラまくことになるだろう」と語っていたが、その次のステップとして進めているのが、1兆個のデバイスが互いに通信し合う世界だ。この実現に向けて、同社は米国の衛星通信事業者であるOneWebに対して、2016年12月に10億米ドルを出資した。

 OneWebでは、地球の周辺(宇宙空間)に約900個の衛星を打ち上げネットワーク化することで、これまでインターネットを利用できなかった国や地域にも光ファイバーの通信環境を提供することを目指している。孫氏は、仮に全人類に通信回線を届けたとしても70億回線しか獲得できないと話し、OneWebと協力することで「ソフトバンクは1兆回線をつなぎたい」と意気込む。

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宇宙空間に約900個の衛星を打ち上げネットワーク化することで世界中にネットワークを届ける

 同日には、OneWebの創業者であるGreg Wyler氏が登壇。現在も世界の約54%の人々がインターネットへのアクセス手段を持っていないと説明する。同氏は当初、アフリカで地中に光ファイバー回線を引こうと試みたが、工事などが難航し断念。そこで「地面を掘るのではなく空に飛ばすことにした」(Wyler氏)という。同社は世界共通の通信帯域である3.55GHzを取得し、いままさに1日に3台のペースで衛星を量産しているのだという。2025年までに学校や病院などを中心に10億人に通信環境を届けたいとしている。

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低価格な衛星を1日に3台のペースで製造しているという

 続けて孫氏は、グーグルが開発した囲碁ソフト「AlphaGo(アルファ碁)」が、囲碁の世界チャンピオンに勝利した例などを挙げつつ、「人間が考えられるあらゆる推論、記憶、知恵よりもコンピュータが遥かに賢くなる時代が来ることは疑う余地もない」と話す。また、これまでAIはPCやスマートフォンなど“自らで動かない”デバイスに搭載されていたが、今後は“自動で動く”ロボットに組み込まれ、さらに1兆個のIoTデバイスと通信し合うようになると予想する。

 「Pepperはただの操り人形じゃないかと思っている人はたくさんいると思うが、そんなものは入り口にすぎない。これからPepper(のバージョンが)20、30、100と進化する中で、いまバカにしている人々が、そのバカにした彼らに追い抜かれる未来が来る。しかし、我々は越される側ではなく越す側にいたいし、一緒に変革を起こしていきたい。そこで、(米ロボット開発企業の)Boston Dynamicsを買収した」(孫氏)。

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Boston Dynamicsの4足歩行ロボット「SpotMini」

 ソフトバンクグループは6月に、Alphabet傘下だったロボティクス企業であるBoston Dynamicsを買収することを発表した。同社では、四足歩行ロボット「Big Dog」や、雪山を歩いたり人に押されても倒れることなく歩行できる「Atlas」、2つの車輪で移動しジャンプもできる「Handle」などのロボットを開発している。


 同日にはBoston Dynamicsの創業者であるMarc Raibert氏が、4足歩行ロボット「SpotMini」とともに登場。SpotMiniは頭部に搭載されたカメラによって空間を立体的に認識しており、会場のステージ上をステップを踏みながら自律歩行したり、台の上に置かれたドリンク缶を掴んでRaibert氏の手に渡したりするデモを披露し、場内を沸かせた。同社では、ロボットによる宅配にもチャレンジしており、テストでは重さ500kgの荷物を運ぶことに成功したという。

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