Appleからスマートスピーカが登場する。多くの人々が予測したとおり登場したのが、AppleがWWDC 2017で発表した「HomePod」だった。
A8プロセッサを搭載しており、もちろんSiriをサポートしているが、Appleが強調したのはオーディオ機器としてのこだわりの音質ばかり。AmazonとGoogleが先行して取り組んできた領域だったスマートスピーカは、Appleによって、論点、あるいは目先が変えられてしまったような印象を受けた。
確かに199ドルのAmazon Echo、129ドルのGoogle Homeよりも高い349ドルという価格設定は、HomePodの競争にとって、かなりネガティブに映る。
ただ、音声アシスタント活用のためにとにかくデバイスをばらまかなければならないAmazonやGoogleと異なり、Appleは「すでにみんなiPhoneを持っているじゃないか」という余裕すら見せる。その理由は、筆者がスマートスピーカに感じていた印象と同じだった。
HomePod登場以前も以降も、個人的には、Appleがスマートスピーカに取り組んでも、取り組まなくても、どちらでも良いじゃないか、と考えていた。そのことは、CNET JapanのAppleニュース一気読みなどの連載でも明らかにしてきたことだ。349ドルというかなり割高な価格設定も、そのことを物語っている。
その理由は、人工知能アシスタントが備わったスピーカが、現段階では「使い物にならない」からだ。
筆者は自宅で、Amazon EchoとGoogle Homeの2つの人工知能アシスタントを試している。いずれもスマートホームのハブとなる、賢いスピーカだ。
ただし、アパート住まいであることから、電球とコーヒーメーカー以外を、スマートホームのデバイスに置き換えることができずにいる。
ちなみに部屋の温度を管理できるサーモスタッドは置き換え可能だったが、筆者が住むカリフォルニア州バークレーは夏も25度を超えることはないため冷房設備はない。また暖房の稼働も年に2カ月程度と、スマート化以前に、空調の必要性がない。
もしそれらをスマートスピーカに対応させていたとしても、せいぜい家を出るとき、帰ってきたときにAlexaに「Turn on/off lights」と命じるぐらいだ。
しかし、実は最近、これもやらなくなってしまった。スマートホームの醍醐味は、オートメーションであり、本来の姿は、人が命じなくても自動的に調節してくれることにある。つまり、スマートスピーカに呼びかけている時点で、スマートホームとしては失格なのだ。
筆者が自宅で使っているスマート電球のフィリップス「Hue」には、日の出・日没でのスケジューリングが可能だ。例えば、日没で家のライトを付け、寝るときには夜間照明にし、日の出の時刻に夜間照明を消すよう設定できる。
さらに、Apple TVをハブとしてHomeKitを設定すると、筆者や家族が家に帰ってくると照明を付ける、といった設定も可能になる。いわゆるジオフェンスだ。さらにここに、「日没後、家に帰ってきたら照明を付ける」という条件を付ければ、完璧だ。
こうしたスマートホームの設定を行っておけば、そこにスマートスピーカの出番はないのだ。
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