「Movistar インターネットにスピードを残そう」のストーリー

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 企業が生活者とコミュニケーションしていくには、何よりもストーリーが必要です。この場合のストーリーとは、相手の感情を動かすエピソードや仕組みを指します。

 ペルーの携帯キャリア・Movistar社による、ソーシャルキャンペーン 「Leave speed to the internet(インターネットにスピードを残そう)」には、生活者の心を動かす「ストーリー」がありました。

 ペルーの首都リマのビーチに通じるハイウェイにおいて、スピード違反は自動車 事故の大きな原因になっていました。死亡事故の数は、前年比で17%も増加していたのです。

 携帯キャリア会社であるMovistar社は、自分たちが提供するサービスを通じてスピード違反をなくし、安全運転に貢献しようというソーシャルキャンペーンを発案しました。それが 「Leave speed to the internet(インターネットにスピードを残そう)」というものです。

 簡単に言うと、ドライバーがハイウェイにおいて、目的地まで制限速度内で走行すると、「インターネットの通信量」をプレゼントするという企画です。

 ドライバーは同社が開発した「スピードコントロール」というアプリを開き目的地を設定するだけ。クルマがハイウェイの入り口を通過すると、アプリがGPS機能を使って自動的に走行スピードの計測を開始します。

 そしてドライバーが目的地まで制限速度を超えずにたどり着くと、Movistar社から1GBの通信量をプレゼントされるという仕組みです。同乗者がドライバーにスピードの出しすぎを注意する機能もあります。

 キャンペーンの結果、 数千人ものドライバーがこの「スピードコントロール」のアプリを利用し、98%の人々がSNSなどでポジティブなフィードバックをしました。また、このキャンペーンやアプリは、数多くのメディアに取り上げられ、合計で1020万ものインプレッションを獲得しました。

 結果として、このキャンペーンにより計20万キロメートルのドライブに安全をもたらした計算になるといいます。

 ではなぜこのような大きな反響があったのでしょう。

 まずは 「(通信の)スピードをもって(クルマの)スピードを制する」という非常にわかりやすいストーリーがあったことがあげられます。

 また、交通安全という社会貢献を自社の強みを使ってアピールするという大義があったことも、数多くのメディアに取りあげられた大きな要因です。

 とてもシンプルな仕組みですが、 自社の強みと社会貢献をうまく組み合わせたストーリーを作ったことが、成功の要因だったと言えるでしょう。

 このように、優れたコミュニケーションには必ずストーリーがあります。あなたの会社のコミュニケーションには、インタラクティブなストーリーがありますか?

◇ライタープロフィール
川上徹也(かわかみ てつや)
広告代理店勤務を経て、コピーライターとして独立。最近は広告制作に留まらず、「ストーリーブランディング」の第一人者として、様々な企業のコミュニケーション戦略をサポートしている。最新刊『ザ・殺し文句』(新潮新書)好評発売中。

この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。

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