マネーフォワードは6月20日、子会社としてMF KESSAIを3月16日付で設立し、企業間後払い決済サービス「MF KESSAI」を開始したと発表した。
MF KESSAIは、取引データを入力するだけで売上金まで回収できる企業間後払い決済サービス。売り手と買い手の間に介入し、与信審査や請求業務、代金回収までを自動化する。これにより、代金回収の不安解消や、請求に関する煩雑な業務を効率化できるほか、与信ノウハウを持たない中小企業でも利用できるため、バックオフィス業務の負担軽減と人件費などの固定費削減、与信高速化による取引機会の拡大に貢献するという。
また、一般的な企業間取引では、売り手側の企業が商品を販売し、請求書を発行してから買い手側の企業が入金する後払いのケースが多い。ただし、実際に入金があるまでにラグが発生するため、その間、売り手側では資金不足が発生してしまう。
このため同社では、秋ごろをめどに、早期入金サービスを提供予定。請求データが生成された時点で、MF KESSAIから、代金相当額を入金する。これにより、回収サイクルの短縮化が可能となり、企業の資金不足を解消できる。与信審査の通過率は約98%で、通過後は入金を100%保証する。
MF KESSAIは、柔軟なAPIを提供することで、企業側のバックオフィスシステムとのつなぎ込みに対応する。これにより、システムから取引データを入力すると、業務を自動で進めてくれる。今のところ、バックオフィスの支援サービス「MFクラウドシリーズ」との連携はまだとのことだが、今後順次対応する予定。MF KESSAI単体で利用することもできる。
MFクラウドの提供により企業の業務効率は改善されたものの、売上金の回収や入金管理などの不安や取引機会の拡大については課題が残ったままだったという。MF KESSAI代表取締役の冨山直道氏は、「ユーザーへのヒアリングを実施したところ、後払い決済に関するニーズが大きいことが分かった。企業によっては、3〜4カ月後の支払いだったりと、入金・支払いには細かいニーズが存在する。こうした企業の後払いフローを変えずに、後払い決済の課題を改善できる」と述べた。
今回、マネーフォワードの新サービスとしてではなく、新会社を設立している。マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻庸介氏は、「データ管理はMFクラウドと親和性が高いので社内でやるべきという話もあった」としつつ、債権債務リスクがあり、ビジネス形態もマネーフォワードとは異なる点があること、コンプライアンス体制などをきっちり構築する必要があったため、法人を分けたと理由を語った。
また、マネーフォワードの若手にベンチャースピリットを育んでもらうための狙いもあるという。冨山氏は、あずさ監査法人やコンサルティング企業を歴任したあと、2014年にマネーフォワードに入社。MFクラウドシリーズの普及に向け、全国の会計事務所や事業会社との提携、事業戦略立案や新規事業展開に従事していたという。
辻氏は、「我々もワンルームマンションで、何もないところからスタートした。新しいサービスでありさまざまなチャレンジが出てくるが、それには若いパワーが必要」としたほか、「(新会社の設立で)自分でビジネスをしたい人は若いうちに経験を積むことができ、それを求めて新しい人材も来てくれる」と、設立の背景を述べた。
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