マネーフォワードとフェリカネットワークスは2月9日、業務提携契約を締結し、スマートフォンを活用した地域電子マネー・地域ポイントサービスに関するワンストップソリューション展開において、両者で協業を開始すると発表した。
今回の提携では、「地域電子マネー・地域ポイント管理システム」の提供や、「電子マネー・共通ポイントへの交換システム」の構築、地域電子マネー・地域ポイントに連動したセール情報や災害情報を発信できる「地域情報配信システム」をパッケージ化を、マネーフォワードが運営するスマートフォンアプリ内での提供を目指す。
これにより、地域電子マネーや地域ポイントを商店街、レジャー施設、交通機関などの決済で利用できる。また、決済情報は自動的に家計簿に反映され、スマートフォンアプリから利用履歴や残高の確認が可能となる。さらに、商業施設からのお得な情報や自治体からの緊急災害情報なども受信できるため、さまざまなコミュニケーションが可能となる。
フェリカネットワークスは、非接触型ICカード技術「FeliCa」を扱う、ソニーとNTTドコモの合弁企業。SuicaやPASMOといった交通系電子マネーのほか、楽天Edy、おサイフケータイなど広く使われている。同社では、ポイントカード、会員カード、電子チケット、決済、CRM、カギなど非接触技術を使ったプラットフォーマーの一面も持ち、ICチップの発行枚数は10億枚、端末設置箇所は全国207万カ所、交通を含めた決済回数は1日7000万回にのぼる。
同社では、モバイル決済利用の向上に向けて、新サービスにおける決済プラットフォームとして利用してもらう活動を展開しているが、近年ではハウスマネーの延長線上として地域電子マネーの可能性に注目しているという。その中で、フェリカネットワークスだけでなくマネーフォワードと協業することで、家計簿アプリなどマネーフォワードが持つタッチポイントを軸足に、地域電子マネーの管理や情報発信などの仕組みを構築する。
電子マネーの残高確認やチャージは、マネーフォワードのアプリ上で実行可能。地方銀行との連携が必須になるが、クレジットカード以外にも口座からのダイレクトチャージも可能だという。商店街やレジャー施設、一部交通でも簡単に使えるよう、カードタイプやおサイフケータイをサポートする予定だ。また、Apple Payの利用は難しいとしつつも、バーコード決済などでの代替を考えているようだ。使った電子マネーは家計簿アプリに自動反映されるので、日頃の買い物でも金銭管理がしやすくなる。
リアルの決済データが蓄積されるとマーケティングに生かそうとする動きも考えられるが、両社主体での展開は今のところ考えていないようだ。ただし、電子マネー主体者の地方銀行が、ユーザーが利用している店舗や商店などのデータを使って、ユーザーメリットにもなる形でビジネスに発展させる場合は、ソリューションを提供する可能性はあるという。また、そういった需要に応えられるよう、システム側にも拡張性を持たせている。
地方活性化策として、プレミアム商品券を発券している自治体は1500近くにのぼる。地方自治体が主体となり、交付金を原資に消費を促す施策だが、一過性となってしまう問題があり継続的な購買に繋がっていないケースが多く見られる。そこで近年では、顧客接点の拡大と取引先の事業発展への貢献を狙い、地方銀行が主体となって地域電子マネーを導入する方向に流れが変わってきていると同社では分析している。
こうした地域電子マネーで先行しているのが、広島銀行が展開する「HIROCA」だ。もともと、電子マネー方式のプレミアム付き商品券(広島県からの助成金をもとに25%のプレミアムを付与)として誕生したHIROCAだが、2015年6~9月の3カ月間の募集で、上限の32万口を超える49万口以上の申込口数を獲得している。2016年4月から地域電子マネーとして取り扱いをスタートさせている。
ただし、地域電子マネーについては、インセンティブのプレミアムが消失したあとでも継続的に利用してもらえるかが課題となってくる。そこで重要となるのがユーザーとの密着度で、銀行やスーパーがリリースするアプリでは、なかなかアクティブ率は上がらないものの、日頃から利用する家計簿アプリは、ユーザーとの貴重な接点になるという。
今のところは、家計簿や資産管理止まりだが、今後は決済やクーポン、ポイントなどのレイヤーを一気通貫できるワンストップのアプリに進化できる可能性を見込むほか、複数のビジネスパートナーとの連携も視野に入れ、事業を拡大する狙いだ。
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