米国時間5月31日、ベンチャーキャピタル企業Kleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)のパートナー、Mary Meeker氏が、年次レポート「Internet Trends」を発表した。例年どおり、インターネットの今後を予想するこの長編の論考は、現在のデジタルテクノロジの状況を大局的に概観しつつ、次に来ると考えられるハイテク界のトレンドを提示している。
Meeker氏の355枚のスライドからなるプレゼンテーションの内容は多岐にわたるが、ここでは5つのポイントに絞って解説する。
クラウド市場に関しては、「Amazon Web Service」(AWS)が依然として圧倒的な首位の座を維持しているが、Googleと「Microsoft Azure」も台頭しつつある。Meeker氏のレポートは、RightScaleからのデータを引用して、AWSはITプロフェッショナルの57%に利用されており、その占有率は前年と同じだったとしている。一方、Azureのシェアは2016年の1年間で14%増加し、Googleのクラウドサービスも5%の伸びを示した。
パブリック型とプライベート型を合わせたクラウドサービスへの企業の支出は、従来型のデータセンターへの支出に迫りつつある。2016年のパブリックおよびプライベートクラウドへの支出は360億ドルに及び、2014年以降で37%増加した。この額は2016年のITインフラ支出の37%を占め、従来型のデータセンターへの支出は全体の63%だった。また、クラウドに対する懸念事項について、同氏のレポートは、焦点がデータセキュリティとコストの不透明性から、ベンダーの固定化とコンプライアンスへ移っていると指摘した。
インターネット広告は、6カ月以内にテレビ広告への支出を超えると予想され、成長分の85%はGoogleとFacebookが手にしている。Googleの2016年の広告売上は推定350億ドル、これに対してFacebookの広告売上は140億ドルとされている。
ただし、Facebookの広告事業の成長ペースは、Googleをはるかにしのいでいる。同社の2016年の売上高が前年比62%増であるのに対し、Googleの親会社であるAlphabetの同期間の伸び率は20%だった。
これは目新しいニュースではないが、Meeker氏の指摘によれば、スマートフォンの出荷台数は、2015年には前年比で10%増加していたのに対し、2016年には前年比でわずか3%しか伸びなかった。
インターネットの普及ペースも落ちているが、世界のインターネットユーザーの数は34億人で、世界の総人口のおよそ46%がインターネットに接続しているという。
Meeker氏は2016年のレポートでも、スマートフォンの販売ペースとインターネットの普及ペースが落ちていることを指摘していた。
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