Microsoftが5月初めに「Surface Laptop」というノートPCの新機種と、それを駆動するOS「Windows 10 S」を発表していた。それぞれの話題についてはCNETでも下記記事で報じられていた通りだが、ハードウェアについては主に大学新入生をターゲットにした市場がSurface Laptop(Apple「Macbook Air」の対抗馬)、そしてその他の教育市場(小中高校向け)はサードパーティー製のもっと低価格な製品(Google「Chromebook」の対抗馬)という棲み分けになるらしい。
さて。この米教育市場の現状について詳しく報じた記事がNYTimesでいくつか公開されている(文末【参照情報】に記載)。Google、Microsoft、Appleという3強の現状がよくわかる面白い記事だ。今回はこのなかから目についた数字や、なぜGoogleが短期間で教育の現場に浸透できたか、といった理由についての話を紹介する。
上記の「Windows 10 S」に関するCNET記事には、2016年に米教育市場で「Chrome OS」のシェア(ハードウェア出荷台数)が前年の50%から58%に増加したとあるが、NYTimesでもCNETと同じ調査会社(Futuresource Consulting)のデータを引用しながら、もう少し詳しいデータを紹介している。
それによると、3社のシェアはGoogleが58%(出荷台数は1260万台)、Microsoft(Windows)が21.6%、Apple(iOSおよびmacOS)が19%だったいう。また2012年にはこの割合が、Appleが52%、Microsoftが43%、Googleが1%未満だったというから、最後発のシェアだけをみるとGoogleが市場を一気に制覇した格好にも見える。もっとも、金額ベースではいまだにApple製品が優位に立っているようで、売上高はAppleが約28億ドル(前年の32億ドルから減少)、Windows製品が25億ドル(前年の21億ドルから増加)、Chrome製品が19億ドル(前年の14億ドルから増加)だったという引用もある。
全体で年間73.5億ドル(2016年)という米教育市場は、3社それぞれの売上規模を考えると、それほど大きな影響を及ぼす市場とはいえないかもしれない。だが、それぞれプラットフォームを提供する3社にとっては、具体的な金額の多寡よりも潜在ユーザーへのアクセス、つまり学校時代に各社の製品やサービスになじんだ子供たちが卒業後あるいは成人後もそれぞれの製品を使い続ける可能性のほうが大きいはずで、その点がわかるとMicrosoftがわざわざ学校向けに別バージョンのOSを用意してきた理由も見えてきそうだ。
同時に、ライバル2社に後塵を拝する格好になったAppleが6月に開催されるWWDCで、この分野に関するどんな発表をしてくるかも注目点といえるかもしれない。
Googleが5年弱という短期間で出荷台数の約6割を押さえることに成功した。その主な要因としては、購入・運用コストの安さ、管理ツールをはじめとするクラウド上のアプリの充実、そして現場の教師と一体となったサービス開発などが挙げられている。
コストについては「Mac1台分で3台のChromebookを手に入れられる」といった顧客の声が紹介されている。またGoogleに支払うサポート料は1台あたり30ドル(一度だけ支払えばいい)。生徒・学生が使うアプリ類は、Gmail、Google Docsなど、一般向けとほぼ同じで、特にコラボレーション機能をいち早く充実させたことが評価されたなどとある。また教員向けの“Google Classroom”という管理ツールを他者に先駆けて開発したことにも何度か言及がある。このツールを使うことで、教師は生徒に宿題を割り振ったり、提出された宿題をチェックしたりすることが簡単にできるようになったそうだ。そのほか、ユーザーのデータが基本的にクラウド上に保存される仕組みも、いろんな生徒がPCを順番に使う教室では好都合といった指摘もある。
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