パナソニック「増収増益に向け確かな手応え」--通期決算は実質ベースで増収


パナソニックの代表取締役社長である津賀一宏氏

 パナソニックは5月11日、2017年3月期通期(2016年4月~2017年3月)の決算発表と、2017年度の経営方針説明会を開催した。売上高は車載事業などが牽引し、実質ベースで増収になっており、パナソニックの代表取締役社長である津賀一宏氏は「増収増益に向けた確かな手ごえたを感じる」とした。

 2017年3月期の連結業績(国際会計基準)は、売上高が前年比4%減の7兆3437億円、調整後営業利益が同17%減の3436億円の減収減益となったが、為替の影響を除く実質ベースでは、同2%増の増収。調整後営業利益の減益も先行投資などによるもので、白物家電や車載・産業向けインダストリアル事業などでは増益になっている。税引前利益は同21%増の2721億円、当期純利益は同10%減の1484億円だが、2月2日時点の公表値1300億円から194億円上回り、年間配当金を2月28日に発表した20円から25円へ引き上げた。


2017年3月期通期の連結業績

 好調に推移した車載事業を持つオートモーティブ&インダストリアルシステムズは、売上高が為替の影響を受け、前年比5%減の2兆5612億円になったが、営業利益は、車載・産業向けの増販益の拡大などにより同2倍の1093億円と大幅な増益を実現。国内の家電販売が堅調だったアプライアンスも売上高が同2%増の2兆3245億円、営業利益が同1.7倍の1043億円の増収増益となった。


2017年3月期通期のセグメント別実績

 津賀氏は「2015年度までは事業売却や既存事業の縮小による合理化や固定費削減などでカバーし、増益を達成してきたが、これらの取り組みと平行して事業の転地や成長事業へのリソースシフトなど、将来の成長に向けた仕込みを着実に実行してきた。2016年度は高成長事業に先行投資をしたことから減益になったが、売上高は実質ベースで増収に転じている。2017年度以降の増収増益に向けた手応えを感じている」と意気込みを話す。

 2017年度においては、事業区分を車載二次電池、次世代コックピット、先進運転支援システム(ADAS)、エアコンなどの「高成長事業」、白物家電、航空、配線器具などの「安定成長事業」、半導体、液晶パネル、ソーラーなどの「収益改善事業」の3つに区分。高成長事業が増収牽引役とし、“増収による増益”を目指す。


事業区分に応じた経営の考え方

 各区分における代表事業の戦略についても話した。高成長事業では、車載事業について大規模投資、成長フェーズに入ってきたことを発表。「約10年前から車の電子化、電動化時代を見据え、車載へのシフトを開始した。その後三洋電機の買収により電池技術などを取得。オールパナソニックの取り組みが実を結び、2017年度は複数の納入を開始する」と、現状を説明する。「2018年度の売上高2兆円も視野に入ってきた。環境対応車や自動運転化など、強みを生かせる分野に集中しながら実現させていく」と戦略は明確だ。

 パナソニックでは高成長事業を中心に1兆円の戦略投資を実行しているが、現時点で、約40%が投資済み、約80%が意思決定済みとのこと。今後も車載用二次電池などに向けメリハリをつけた投資を実行するとしている。

 安定成長にある家電事業については、経営体質強化と選択と集中を進めてきた結果、テレビやオーディオなどのAV機器から経営リソースを白物にシフト。白物家電のプレミアムゾーンの拡大と経営の現地化という方向性が確立してきた」と話す。

 一方、収益改善事業は、半導体で、車載、産業への転地と合理化推進、液晶パネルはテレビ向けパネルを2016年度上期に生産終息させ、車載、産業用に特化するなどの取り組みを実行することで、いずれも2019年度の黒字化を見込む。ソーラーに関しては、海外での取り組みを強化していくとのこと。なお、半導体、液晶パネル、ソーラー事業はいずれも赤字になっている。

 パナソニックでは2018年3月期の業績見通しを、売上高が前年比6%増の7兆8000億円、営業利益が同20%増の3350億円、税引き前利益が18%増の3250億円、当期純利益が同7%増の1600億円とした。


2018年3月期連結業績見通し

2018年3月期セグメント別見通し

 津賀氏は「持続的成長基盤が整った。2018年度に向けて車載を中心として高成長事業の利益がさらに成長するとともに、安定成長事業が堅調に利益を創出し、収益改善事業の収益性が良化する見通し。したがって2018年度の経営目標である、営業利益4500億円、純利益2500億円以上は堅持し、グループ一丸となって取り組んでいく」と今後の方針を示した。


経営目標

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