ソニーは4月28日、2017年3月期(2016年4月~2017年3月)連結業績を発表した。為替の影響により売上高は前年度比6.2%減の7兆6033億円、営業利益は映画分野における営業権の減損を計上したことにより、同1.9%減の2887億円となったが、第4四半期のみでは増収増益となっている。
第4四半期(2017年1~3月)のみでは、売上高が前年同期比4.4%増の1兆9036億円、営業利益は同929億円の赤字から944億円の黒字へと転換した。またエレクトロニクス6セグメント合計で、第4四半期の営業利益が黒字になっており、これは1997年以来19年ぶり。代表執行役 副社長兼CFOの吉田憲一郎氏は「第4四半期における継続的な赤字は経営課題の1つだったが、一定の成果が上がってきたものと認識している」とコメントした。
セグメント別では、2016年4月に発生した熊本地震の影響を受け販売台数が減少した、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野と、営業権の減損1121億円を計上した映画分野が減収減益となった。
欧州、中近東、中南米におけるスマートフォンの販売台数減と、不採算地域での販売台数の絞り込みをしたモバイル・コミュニケーション分野と為替の影響を受けたホームエンタテインメント&サウンド分野は減収となったが、オペレーション費用の削減や製品ミックスの改善により、両事業部ともに増益となっている。
モバイル・コミュニケーション分野について吉田氏は「2018年3月期はスマートフォンの年間販売台数を、2017年3月期の1460万台から190万台引き上げ、1650万台にする。為替の逆風や、使用部品の価格高騰など、スマートフォンの事業環境は前年より厳しいとみているが、分野としての営業黒字を確保したい」とした。
一方、売上高6.3%増の1兆6498億円、営業利益が469億円増の1356億円となったゲーム&ネットワークサービス分野は、ネットワークを通じた販売を含む「PS4」のソフトウェア販売が成長をけん引。この勢いは2018年3月期も続くとみており、売上高1兆8900億円、営業利益1700億円の増収増益の見通し。
吉田氏は「PS4は発売から3年半が経過し、販売台数は前年の2000万台から1800万台へと減少を見込むが、プラットフォームとしての収穫期を迎えている」とした。
イメージセンサなどを持つ半導体分野は売上高が4.6%増の7731億円となったが、営業損失は、熊本地震関連の費用計上に加え、モバイル機器向けの一部イメージセンサの在庫に関する評価減を計上したため223億円悪化し、78億円のマイナスとなった。
しかし、引き続き設備投資を計画しており、月産8万8000枚の生産体制を、2018年3月までに月産10万枚程度まで増加する予定。2017年度の見通しでは大幅な増収と、損益改善を見込む。
2018年3月期連結業績見通しは、売上高が前年比5.2%増の8兆円、営業利益が同1.7倍の5000億円、税引き前利益が同1.8倍の4700億円、当期純利益が3.5倍の2550億円の見通し。
吉田氏は「2015年2月に発表した中期経営計画である、営業利益5000億円以上、ROE10%以上は達成可能と考えている」とコメントした。
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