ソニー、有機ELテレビ「ブラビア A1」シリーズ発表--65V型で約80万円

 ソニーは5月8日、テレビ「ブラビア」に有機ELパネルを採用した「A1」シリーズを発表した。4K高画質プロセッサ「X1 Extreme」を搭載し、画面を振動させることで音を出す独自の音響システム「アコースティック サーフェス」を採用する。発売は6月10日。想定税別価格は65V型の「KJ-65A1」が80万円前後、55V型の「KJ-55A1」が50万円前後になる。77V型の発売も計画しており、時期は2017年秋以降の予定だ。


「KJ-65A1/55A1」

 ソニーでは、2007年に11型の民生用有機ELテレビ「XEL-1」を発売。その後業務向けモニタなどは販売していたが、民生用の有機ELテレビの発売は約10年ぶりになる。A1シリーズは、液晶テレビ「Z9D」シリーズと並ぶフラッグシップ機に位置づけ展開していく。

 3840×2160ピクセルの4K有機ELパネルを搭載し、従来の「X1」に比べ、約1.4倍の処理速度を持つX1 Extremeにより、各高画質機能に最適な信号処理をすることで、高画質再生を実現。SDR映像をHDR映像相当にアップコンバートする「HDRリマスター」も備える。

 スピーカ部はなく、有機ELパネル背面の左右にアクチュエータを配し、画面を振動することで音を出すアコースティック サーフェスを搭載。画面から音が出るため、画面と音が一体となった映像再生体験ができる。


背面。スタンドは前からは見えないデザイン。サブウーファを内蔵する

65、55V型ともに背面のスタンドを折りたたんだ際の奥行きは8.6cm

 パネルを振動させ音を出す技術は、ガラス製スピーカ「サウンティーナ NSA-PF1」(2008年)、「グラスサウンドスピーカー LSPX-S1」(2016年)などの技術を応用したもの。また、欧州向けに2008年に発売したXEL-1にはフレーム部を振動させて音を再生する技術を取り入れており、画音一体への取り組みはこの時点から始まっていたという。

 本体には地上、BS、110度CSデジタルチューナを2つ備え、Android TV機能も搭載。ソニーマーケティングの代表取締役社長である河野弘氏によると「ブラビアのネット接続率は約70%で、ネットにつながっているのが当たり前の状況になりつつある。さらに音声検索も7割の人が利用し、ひと月で約46回使用するという結果が出ており、音声検索をするスタイルは定着しつつある」と現状を話す。

 A1シリーズでは「来週のお笑い番組を録画して」と話しかけると、来週という時間情報、お笑い番組というコンテンツ内容、録画するというアクション内容までを分析し、録画予約をすることが可能。視聴や録画予約までのステップ数を少なくすることに成功しているという。

 ソニー執行役EVP ソニービジュアルプロダクツ代表取締役社長である高木一郎氏は「高付加価値の機能や楽しみ方に対し、しっかりとお金を払っていただくだけの価値を提供できるのがソニーのプレミアム戦略。A1シリーズも、有機ELパネルとX1 Extremeによる最高画質や、アコースティック サーフェスによる新しい没入感を提供できるプレミアムモデルとして展開していく。いたずらに数を追わず、付加価値を提案し続けていきたい」と、有機ELテレビの戦略について話した。


左からソニーマーケティング代表取締役社長の河野弘氏、ソニー執行役EVP ソニービジュアルプロダクツ代表取締役社長の高木一郎氏

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