思考とマシンをつなぐFacebookの挑戦--人間もアップグレードする時代へ - (page 2)

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 なお、3月にElon MuskがNeuralinkという新ベンチャーの立ち上げを発表し、「人間の脳とマシンを物理的に直結する」と口にしたとして話題になっていたが、それに対してDuganは「手術が必要なやりかたはスケールしない」と述べたとQUARTZ記事は伝えている。

 また、「頭に浮かんだ事柄がダダ漏れになってしまわないか」という懸念については、「そうはならない」「伝えようとしたことだけが読み取られる仕組みだから心配ない」とする同プロジェクト責任者のコメントがCNET記事には出ている。なお、Mark Chevilletというこの責任者はJohns Hopkins大で応用神経科学を研究していた人物だそうだ。

 ところで、音声インターフェイスもまだ定着したとはいいがたく、ARなどもやっと初歩的なものが実用化されはじめた現時点で、「脳でタイピング」するとか「皮膚で聞く」といったさらに先を行く技術のことを云々するのもかなり時期尚早とも感じられる。だが、マシン側のめざましい能力向上で「そう遠くない将来に、現在の人間の仕事の何割かが人工知能(AI)=マシンにとって代わられる」といった話が横行している現状を思うと、Yuval Noah Harari曰く「有機的なアルゴリズム(organic algorithms)」にすぎないわれわれ人間の側でも、情報の認知・処理能力をアップグレードする手段に関して目星をつけておきたいところ。

 Duganは「人間の頭脳は毎秒1テラバイトのデータ(HDストリーミング映画40本分に相当)を処理できる」にもかかわらず、「人間のしゃべるスピードは思考のスピードよりもはるかに遅い」とし、この「言葉を口にする」速さを「1980年代に出ていたダイアルアップ・モデム」に喩えたとCNET記事には記されている。このDuganの指摘には、人間の処理能力に関する「帯域幅(bandwidth)」を問題にしていたElon Muskのそれと通底するものとも思える。

 Facebookの研究がうまくいけばとりあえずアウトプットのスピードは上がる可能性が見えてくる。そうなると次に気になるのはインプットのほうだが、これは案外簡単な訓練で向上するらしい。たとえば、GV (元Google Ventures)のM.G. Sieglerは少し前に「ポッドキャストやニュースの音声読み上げを2倍速で聞くことに慣れた結果、家族など人間と話をしているとじれったく感じるようになってしまった」と書いていた。また「ふだんオーディオブックを3倍速で聞いている」という元NBAチームのGMの話を読んだこともある。もちろん、インプットとアウトプットのスピードを上げただけで、うまく生き延びられるとは限らないし、また「いちいち想いを言葉に置き換えないといけないのか?」とまだるっこしさも感じてしまうが、そうした諸々の事柄を含めて、この種のチャレンジに注目したいと想う次第である。

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