Facebookは、脳と発話の間の非侵襲型インターフェースを開発する計画を公表した。センサを利用して、人々が言葉を発することなくコミュニケーションをとることのできるシステムを構築する。つまり、ユーザーは頭で考え、無言でコミュニケーションする。
Facebookの研究グループであるBuilding 8を統括するRegina Dugan氏は、そのような「サイレントスピーチインターフェース」が「数年先のもの」であることを認めた。Building 8は、次の2つのプロジェクトに取り組んでいる。
脳によるタイピング。Facebookは、テキストの機密性を保ちつつ声のような速度と柔軟性を実現するサイレントスピーチインターフェースを開発したいと考えている。このシステムは、脳の言語中枢から直接、毎分100語をタイピングすることを目標とする。人間が発話しようと既に決めている言葉を解読するものだ。
このプロジェクトでは、一般的に提供されている非侵襲型センサを利用し、信号を歪ませることなく脳の活動を測定する。このような測定が可能なイメージングセンサは現時点では存在しない。Facebookは、60人を超える科学者、インテグレーター、エンジニアによるチームを結成し、このプロジェクトに取り組んでいる。
「人間は、脳の中の情報をどのようにして取り出して周囲に送り出しているのだろうか。どのような選択が行われているのだろうか。発話は基本的に、損失の大きな圧縮アルゴリズムだ」とDugan氏は述べた。
皮膚で「聞く」。第2のプロジェクトは、皮膚を通して言語を伝達することを可能にするハードウェアとソフトウェアの構築が中心となる。皮膚は、脳に情報を伝達する神経のネットワークだ。
これは、点字のハイテク版を目指す取り組みといえる。Facebookは、内耳にある蝸牛(かぎゅう)の機能を模倣することを目指している。蝸牛は、音の周波数に応じて信号を脳に伝達するが、その機能を皮膚を通して実現しようとしている。
Dugan氏は基調講演の中で、Facebookの研究はやや恐ろしくはあるが、人間のコミュニケーション方法に対して広範囲にわたる影響を与える可能性があると語った。まず、言葉の壁がなくなる可能性がある。このシステムが、脳の活動と意味情報から瞬時にその意味を解読できるかどうかは不明だ。Dugan氏は、言語と意味は思考が圧縮されたものにすぎないと述べた。
ここでもう1つの大きな不確定要素は、プライバシーに与える影響だ。Facebookは既に、ユーザーに関する大量の情報を把握しているが、脳の活動までもとなれば、行き過ぎかもしれない。それでも、Dugan氏のグループが進める研究プロジェクトは興味深いものだ。同氏は、思考でコミュニケーションするという取り組みが、やや恐ろしいものであることを認めている。「これは重要な問題だ。やり方を誤れば、最悪なものになる」(Dugan氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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