LINEとキリンビバレッジバリューベンダーは4月13日、独自の自動販売機コミュニケーションサービス「Tapiness」を提供開始した。今後の展開は、7月以降に順次全国に拡大。2年後には2万台の自販機を展開する予定だという。
Tapinessでは、自動販売機内にビーコンを内蔵し、LINEをインストールしたスマートフォンを近づけると自動で接続し、ドリンクの購入でポイントがたまる。15本購入すると1本無料でドリンクがもらえる特典チケットが付与され、友だちや家族などと共有可能。コミュニケーションのきっかけなどにも使えるという。
キリンビバレッジバリューベンダーは、自動販売機を「『ハコモノ』からわくわくする『活きモノ』へ」というスローガンを掲げている。自動販売機はコンビニエンスストアなどに押され、1台あたりの売上が下降傾向にあるという。自動販売機に付加価値を与えることで、ユーザーに喜んでもらえる商品提供を目指しているという。
同社では、2015年10月にLINEビジネスコネクトを活用したデジタルサイネージ自動販売機「VENDORPHOTO」を提供。飲料を購入すると写真撮影でき、LINEに送信できる機能を備えていた。しかし、独自アプリを利用する必要があったため、新たにアプリをダウンロードしてもらうというハードルがあったという。今回は、6600万ユーザーを抱えるLINE内で完結するシステムとして開発した。
また、LINEビジネスコネクトの購買データや属性データを利用することで、One to Oneマーケティングを実現。50代男性には缶コーヒーの情報を、主婦にはポイントの情報など、きめ細やかなマーケティングが可能になるという。
同社代表取締役社長の岩田実氏は、「自販機もオフィスの場所によって売れる商品や売上が違う。きめ細やかに調査しないと一台あたりの売上も上がらない。Tapinessで直接的な情報を流すことで、より効果的な広告投資につなげていきたい」という。テレビ広告の割合も毎年見直しており、SNSを活用したものも徐々に増えてきている。時代の流れの中で、テレビオンリーではないと考えてはじめているという。
LINE代表取締役社長の出澤剛氏は、「消費者の趣味趣向が分散化する中で、消費者にアプローチするメディアも変わってきた。ユーザー視点では、メールや電話の回数が減っており、消費者にも新しいコミュニケーション手段が必要になってくる」とした上で、「LINEは6600万人のユーザーに使っていただいており、そのうち85%が毎日利用している。LINEを使った消費者とのコミュニケーションが増えてきている」とLINEとマーケティングの親和性を主張した。
出澤氏は、今回ビーコンを使った消費者接点のシステムについて「ウェブとリアルの断絶を何らかの方法でつなげていく必要がある。LINEでは、これまで会員登録などの手間が必要だったが、ビーコンをかざすだけで簡単にアカウント登録できるようになった。今回のキリンとの提携をきっかけに、LINEビーコンの仕組みを世の中に普及させていきたい」としている。
決済は、現金や交通系ICなどの電子マネーが利用できるほか、モバイル決済プラットフォーム「LINE Pay」も利用できる。LINE Payのユーザー数は日本や台湾、タイなど4カ国で1000万人を超えているという。内訳は非公開としたものの、日本がもっともユーザー数が多く、今回のTapinessの提供により、LINE Payという新しい決済手段のさらなる訴求にもつなげたいとしている。
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