「製品の完成度が上がったら出してもいい」──結果、3年がかりでリリースにこぎ着けたのが、2016年9月に発売したレノボの「YOGA BOOK」だ。ペン入力機能を備えた極薄2in1モデルとして人気を集めている。
10.1型ワイドディスプレイを搭載し、閉じた状態でも厚さ9.6mm。重さは約690gと軽い。Wi-FiまたはLTE通信機能を備え、Windows、Androidが選べる。レノボ個人向けショッピング価格は4万2984円(税込)~とお手頃だ。
YOGA BOOKは、タッチパネル上にフラットなキーボードを備え、ワンタッチで切り替わるペン入力機能を持つ。キーボード面に置いたノートに専用の「REAL PEN(リアルペン)」でメモを書くと、そのままタブレットにデジタイズ入力ができるのが最大の特長だ。
レノボ・ジャパンは4月5日、プレス向けにYOGA BOOKキーボードに関する説明会を開催。開発者らが開発の背景や技術について語った。
目指したのは、持ち運びしやすいモビリティと編集がしやすいPCのようなプロダクティビティを備えた製品という。ターゲットユーザーは、長文もスマートフォンで打つようなタッチデバイスを生産的な活動に積極的に使用する“タッチジェネレーション”と呼ばれる世代だ。
開発をスタートした当時、タブレットとして位置付けられていた製品の多くはコンテンツの閲覧を中心としたものだった。しかしレノボはコンテンツ消費型のフォームファクタに特化していると、頭打ちになるだろうと予測した。
そうしたタッチジェネレーションに向けて開発したのがYOGA BOOKだ。YOGA BOOK プロダクトマネージャーの後藤剛氏は、「若者のPC離れと言われるが、もう長文をスマホでフリック入力してからPCに戻すような人々が社会に出始めており、一定数いる。そういったタッチなど感覚的な入力を当たり前ととらえている人は、ある程度の完成度にならないとユーザーの満足は得られないだろうと思った」とし、ただ製品をつくるだけでなく、完成度がキーになると説明した。
開発に3年かかったのは、これらの背景を踏まえた社長以下の経営者らの判断があったという。一般的に、年に1回のモデルチェンジが行われるサイクルにある中で、まずある程度でリリースしてから次の製品としてブラッシュアップしていくパターンもよくあることだ。
しかし、「1年、2年といわず、完成度が上がったら出していい、と言われた。結果的に、開発から発売までの間に3年かかってしまった。これは通常ではあり得ない判断」(後藤氏)とし、途中に何度か発売に向けてトライしたが、エグゼクティブらの承諾がなかなか得られなかったことを明かした。
機能だけでなく、見た目にも力を入れた。「手書きをそのまま取り込めるのが大きな特徴のひとつ。これがあるがゆえに“変態モバイルPC”と言われがちだが、まずヒンジや筐体のラグジュアリーな仕上がりを見てほしい」(後藤氏)と語る。
YOGAシリーズのPCと同様に、フレキシブルに駆動する独自のヒンジを採用し、山型に開いて動画を再生したり、ディスプレイを前面にしたタブレットスタイルで使用したりと4つのスタイルで自由に使えるのも特徴の一つだ。
ボディにはマグネシウムアルミニウム合金を使用した。アルミの高品位な美しさとマグネシウムの軽くて丈夫な“いいとこ取り”ができるという。
YOGA BOOKは、ディスプレイ部は4.05mm、キーボード部は5.55mmで厚さ9.6mmと薄いのも特徴のひとつだ。この薄型化を実現したポイントは「Haloキーボード」にある。
3年に渡る開発期間中のうち、厚さ9.6mmになるまでに1年半をかけ、さらにHaloキーボードの作り込み、実用度合いを上げること、筐体の作り込みで1年半をかけたといいう。
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