Haloキーボードは、キーボードの形状が光って浮かび上がるフラットなタッチ式のキーボードで、ハードウェアとしてはスクリーンキーボードとほぼ同じだ。しかし、振動を発生させて打鍵フィードバックをし、さらに凹凸がないことでユーザが打ち間違いをした際も、そのクセを学習して実際のキーをはみ出した部分にまで打鍵位置を自動調整する独自技術を備えている。
Haloキーボードは、ThinkPadのキーボード設計で定評のある日本のレノボ大和研究所が手がけた。ただし開発を担当したのは、ThinkPadの部隊ではない。Research & Technology、通称R&Tと呼ばれるチームで、アルゴリズム、レイアウト、デザインも含めて3人のリサーチャーが担当した。
もともとは、ThinkPadの3年、5年、6年先を研究する部隊だったが、2008年頃にグローバルのR&Dに組み込まれてその一部として活動をスタート。現在は、人間がスマートデバイスにどうやって自分の意志を伝えるか、入力するかといったHCI(ヒューマン・コミュニケーション・インタラクション)の研究や提案をしているという。
スマートフォンやタブレットは、長い文章の入力にはあまり使われないことが多い。キーボードレイアウトの問題、パームレストが使えない、タイピングの反応が遅い、タイピングエラーが多い──。物理キーボードのように思い通りに入力できないことが大きな理由だ。
しかし、同社のユーザーテストによると、Haloキーボードのタイピング生産性は、2-in1 PCの物理キーボードに匹敵する結果が得られている。物理キーボードとの差をソフトウェアの力で縮めるために、多くの独自技術を開発しているという。
主な技術は(1)キーボードレイアウト、(2)タッチICファームウェア、(3)タイピング検出、(4)エルゴノミック・ヴァーチャル・レイアウトの4つ。
まず、キーボードレイアウトとして参考にしたのは、同じ10.1型のディスプレイを搭載した、「ThinkPad 10」のウルトラブックキーボードだ。
データ解析に基づき、キーピッチは19mmのフルピッチよりもやや小さい18.1mm×17.4mm。またBackspaceキーの幅もタイピング位置の解析から最適化し、右上の角に配置した。また、視認性の向上に向け、タイピング中にバックライトが点灯するスマートバックライトコントロールを導入。ペン使用時はバックライトがオフになる仕組みだ。そうすることで、視認性と低電力を両立した。
当初は「6列もいるのか?」という声もあったというが、「日本ではファンクションキーがよく使われており、6列キープを強行。生産性をアップするために使いやすいレイアウトにした」(レノボ Research & Technology リサーチャー、リーダーの河野誠一氏)。
通常のノートPCでもタイピング中に意図せずタッチパッドをさわってしまうことがあるが、全面がタッチパネルとなっているYOGA BOOKでは、この問題がより多く発生してしまう。
そこで、ファームウェアレベルでパームレストに対応した。具体的には、手のひらが置かれる部分を不感帯に設定。解決策として、タイピング中は中心部を除き不感帯とし、タッチパッドの中心部をさわるとタッチパッド全面が使用可能になるしくみだ。
さらに、タッチファームウェアをカスタマイズし、指のタッチに関する詳細な情報を得られるようにした。キーボード上で休んでいる指なども含めた混合データをもとに、ユーザーの意図的なタイピングを検出するための「タイピング検出アルゴリズム」を開発。こうして、物理キーボードに準ずる高速な反応や、ユーザーのタイピング意図に沿った順序での文字出力ができるようにしたという。
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