プレミアムインタビュー

日本中の知を集積--福岡・高島市長がITで起こす“化学反応”(後編) - (page 3)

山川晶之 (編集部) 渡徳博(カメラマン)2017年03月30日 08時00分
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情報は量が多すぎると「すべてが死んでしまう」

――高島市長と言えば、博多駅前の陥没事故や、LINE NEWSのタイトルミスへのやわらかい言及など、独特なネットの接し方が印象的です。個人のSNSを使っている理由はなんでしょうか。

 極論すると、行政というのは、平時は民間の活動を妨げないようにすればいいのですが、有事の時には、市民の安全と安心の両面でしっかり責任を果たす必要があります。情報発信についても同じで、災害など有事の際には、色々な情報ソースにおいて、玉石混交のさまざまな情報が飛び交いますし、その中で、市民の皆さんは行政の発信を必要としています。また、市町村は、消防や水道などの現場を持っていますので、間違いのない情報が入ってきます。信用できる情報が出せるのは、とても強みだと思います。

 ただし、市の公式のウェブサイトやFacebookページでは、あらゆる世代・価値観の人が閲覧しますので、情報を発信する時には、すべての人に過不足ない情報を丁寧に発信しなければなりません。しかし、情報というのは、たくさんの分量を発信すると、逆に読まれずにすべてが死んでしまうという問題もあります。

 そこで、専門用語を使わず、いかにザクッと要点を伝えられるかが大事になりますが、市の公式な情報発信では、編集して一部の情報だけを発信することは難しいのです。一方、個人のSNSであれば自分自身で編集できますので、有事の際にわかりやすい情報発信をするのに非常に威力を発揮します。博多駅前の道路陥没の時には、Q&A方式にするなど、その時々に応じ、工夫して発信しています。

――市民の方とコミュニケーションするときや、情報発信で気を付けていること、市長ならではの使い方はありますか。

 インターネットの世界では、肩書にフォロワーはつきません。個人にフォロワーがつきます。無名の一般の人でも、投稿が面白ければフォロワーがつきますし、どんなに偉かったり、社長などの肩書があっても、投稿がつまらないとフォロワーがつきません。

 例えば、政治家が、選挙活動の時だけ、街頭演説の様子をアップしていても、フォローはつきませんし、広がらないと思います。ここがリアル世界とネット世界で違うところで、こうした特性はしっかりと理解しておかなければいけません。

 ですので、個人のSNSでは、いざというときに情報を見てもらえるよう、行政の堅い話だけでなく、普段のプライベートの話も入れるようにしています。行政できっちり過不足なく情報を提供し、プラスアルファで個人でも情報発信の経路を持っているのは強みになります。むしろ、インターネットの特性として、個人の方が信用してもらえる傾向もあります。


福岡市政の今を発信する高島市長のブログだが、まれにクックパッドで調理した投稿など、日常の一面も見て取れる

 また、Twitter上で意見交換している方もいらっしゃいますが、私はSNSで誰かと論戦することはありません。直接意見を聞けるメリットはあるものの、私にとってSNSでの発信が仕事ではありませんし、時間を割く場所ではないからです。

 大量に書き込まれるSNSのコメントにすべて返答することで、例えば、寝不足になって職務に支障がでたり、間違えて答えてしまって行政や首長としての無駄な仕事が増えたりするのは本意ではありませんから、いかに持続可能なかたちで個人としてSNSと関わり運用するかは、常に考えています。

 自分が発信した情報に対するコメントは、ひとつひとつ見ていますが、それに個別に対応するのではなく、いわゆるビッグデータとして見ています。極端なご意見などもありますが、市民の皆さんの意見の中心がどこかをインプットしたうえで、それに対する私のアウトプットとして、かみ砕いて分かりやすく伝えるかに重点を置いて、発信していますね。


こちらからの質問に、熱く、気さくに答えていただいた
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