プレミアムインタビュー

日本中の知を集積--福岡・高島市長がITで起こす“化学反応”(後編) - (page 2)

山川晶之 (編集部) 渡徳博(カメラマン)2017年03月30日 08時00分
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日本を最速で変えていく方法

――IoTネットワークもそうですが、福岡市の取り組みが全国に波及し、日本の力になるのが最終的な目標でしょうか。

 日本を最速で変えていく方法は、東京の国会や中央省庁で制度や法律を作ることではありません。地方でロールモデルとして“やってみせる”、それが広がっていくことが日本を最速で変えることにつながるのです。目で見えないものを信じられず、想定されるデメリットや不安ばかりが膨らんで前に進めなくなるというのが、日本のよくあるパターンです。

 実施する前からリスクばかりを気にしてしまい、少し大げさですが、良いことが1000あっても、悪いことが1つあるだけでダメになってしまうというような感じですね。ですので、実際にやってみせるのが一番手っ取り早いのです。

 たとえば、スタートアップカフェに関しても、そもそもカフェというのは、コーヒーを飲むか本を読むためのもので、スタートアップしたい人が集まる場所という発想は存在しないものでした。今や福岡のシンボリックなスタートアップ拠点として、多くのスタートアップを生み出し、他の都市でも同じようなものが開設されています。


スタートアップカフェ

 こうした“やってみせる”が、日本における福岡市の重要な役割になっていて、それを自覚したうえで責任を果たしていきたいと思っています。もちろん、先頭を走り続けるには、少しでも油断していると一瞬で抜かれてしまいますので、自分自身はもちろん職員のアンテナ感度も磨いておかなければいけません。

――新しいテクノロジやビジネスモデルを行政が理解し、取り入れて実際に先進的な環境を整備するのは企業にとってメリットが大きいです。

 ただし、既得権を打ち壊すことにもなりますから、間違いなく反対にあいます。規制とは、安全を守る視点でできているものもありますが、一方で、規制によって競争させないように、市場に新しい発想や、より効率的なイノベーターを阻む壁になっている場合もあります。競争が起きないため、イノベーションが起きなくても、既得権者は、市場をずっと独占できるのです。

 既得権の人たちは、組合を作ったり、選挙運動を通して規制や社会の仕組みを変えられないように頑張ります。社会を変えていくには、そこを突破しなければならなりません。そして、安全をきちんと担保しながら新しいイノベーションを社会に実装していきたいと考えています。福岡市が実現できなければ、他の自治体でもできないという気持ちでチャレンジしています。

――高島市長の取り組みは市民の評価にもつながっているのでしょうか。

 福岡市を良くするチャレンジですから、総論では賛成していただいていると思いますが、いざ具体的な各論の話になって、自分に関わってきた時には、当然反発する人もいるでしょう。全員に賛同してもらうというのは現実的に無理ですからね。ただ、毎年実施している市政信頼度調査では、就任当初は40%程度だった信頼度が、今では74.4%に上昇しています。多くの市民の方にもご理解いただけているのではないでしょうか。


福岡市政の信頼度調査の結果
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