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耐え忍ぶ世代、冗談じゃない--福岡・高島市長がITで起こす“化学反応”(前編)

山川晶之 (編集部) 渡徳博(カメラマン)2017年03月29日 08時00分
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 積極的なIT活用や手厚いスタートアップ支援策など、先進的な取り組みを矢継ぎ早に展開する福岡市。人口155万人をほこる大都市の舵を握るのは、同市長の高島宗一郎氏だ。

 高島氏は、もともと九州朝日放送のアナウンサーを務めており、2010年の福岡市長選挙に出馬。当時の現職市長に約6万5000票の差を付け、福岡市長としては史上最年少の36歳で初当選を果たしている。また、2016年11月8日に発生した博多駅前の陥没事故では、事故の状況や今後の復旧について、Facebookやブログなどを使った即時性のある情報を発信し、福岡市内外から注目を集めた。

 なぜ、高島氏は積極的に市政にITを取り入れるのか。他の自治体にはない独自のインターネット活用法なども含め話を聞いた。


福岡市役所本庁舎で取材した

――最近、テレビを含めた各メディアで高島市長が露出する機会が増えたように感じます。

 東国原英夫氏が宮崎県知事をお辞めになってから、九州を強力に発信してくれる人がいなくなってしまいました。なので、九州全体を発信することはすごく意識しています。福岡市の成長戦略やまちづくりの道筋は立ってきたので、次は九州、日本全体に目を向けて、チャレンジや成長をけん引するビジョンを出していきたいですね。

――すでに多くのチャレンジを実行されていますが、特にITやスタートアップなどの施策が印象的です。まずは「Fukuoka City Wi-Fi」の整備から始まり、創業特区への指定、ヤフーやLINEなどIT企業とも連携しています。積極的に市政にITを取り入れる狙いはなんでしょうか。

 理由は二つあります。一つはシンプルに「便利になるから」で、ITによって市民サービスが向上するのです。“IT”というと一般的には技術的に難しいものというイメージを持つ方も多いでしょうが、難しいのは核心部分のテクノロジであって、ここを技術的にしっかり整えれば、市民の皆さんにとって使いやすいものになり、また、人にやさしいまちになるのです。

 もう一つは、「やらなければならない」という差し迫った問題があるということです。私たちは、現在、少子高齢社会という課題に直面しています。少子化と高齢化が同時にやってくるというのは未だかつて人類が経験しておらず、その課題の先頭を走っているのが日本なのです。

 そうした社会においては、税を納める人が少なくなり、サービスを受ける受益者の数がますます多くなっていくことで、納税とサービス提供のバランスに偏りが起きます。間違いなく今年必要な財源よりも来年、再来年のほうが大きくなっていくわけです。これまでの税収とサービス提供のスキームでは持続可能性がありません。多少節約したレベルではもう賄えないので、大きな発想の転換が必要です。

 どうすれば市民サービスを落とすことなく、むしろ良くしていけるか、市民サービスのアウトカムはそのままで、いかにコストと人を抑えて受益者のサービスを向上させるかを考えたときに、ひとつ大きな可能性があるのがITなのです。

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