このシステムを企画したのは、博報堂の須田和博氏(インタラクティブデザイン局クリエイティブ開発部エグゼクティブクリエイティブディレクター)が立ち上げたスダラボ。人に喜んでもらえる広告の形を目指し、新しい技術(テックシーズ)をベースに、広告の発想で価値のある使い方を研究している。スダラボのメンバーはプランナーなどトップクリエイターで構成され、プロダクト開発やハードウェアへの実装などは、博報堂アイ・スタジオと連携している。
スダラボではこれまで、田んぼに複数の作物を植えて模様を作り、それをQRコードとして読み取ると地域の農作物が購入できる「rice-code」や、スーパーの店頭などで置かれている野菜に触ると、生産者の声で野菜がしゃべる販促ツール「Talkable Vegetables」などを考案。2016年には、雪かきをゲーミフィケーション化するスコップデバイス「Dig-Log」を発表し、話題を集めた。
須田氏は、最新音楽やテクノロジが一堂に集結した米国の大型イベント「SXSW 2017」にFace Tageting ADを出展。来場者の反応を見ると、“鏡に言ってもらいたいこと”がわかったという。
鏡の形をした広告媒体のため、ユーザーは鏡に向かっているときと同じマインドになる。そこで、「お疲れですね」や「シワが目立ってきましたね」というコミュニケーションとして、栄養ドリンクやエイジングクリームの広告を表示すると、「疲れているのバレた?」「年を取ってるとでもいいたいの?」など、アクティブな反応が返ってきたという。
マイクロソフトと言えば女子高生AI「りんな」が有名だが、こうしたAIと広告の連携について須田氏は「りんなも取り入れてみたいと思う。さまざまな企業と企画段階では進んでいる」としつつ、「マネタイズの部分については検討の余地がある。まだ完璧なものではないと思っており、人を傷つけてしまうような質問をどのようにハンドリングするかなど、乗り越えないといけない課題がある」という。ただし、「プログラムや提供の仕方などで、限られた人に対して使うのには非常に強力なプロダクトになる」と有効性をとなえた。
なお、Face Targeting ADの後継プロジェクトだが、すでに仕込みの準備が進んでいるという。りんなを使ったものではないが、マイクロソフトのMRデバイス「HoloLens」を使用した企画になるようだ。
同氏は、「従来、広告媒体に広告表現を載せるのが私たちの仕事だったが、IoTが出現したことで、広告媒体とそれに載せる表現が大きく拡張している。万物が広告媒体になり、あらゆる万象が広告になる時代が来ている」とした。
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