テクノロジの進化が速すぎて、社会規範がそれに追いついていない――。そう発言したのは、今日特に広く使われているテクノロジの発明に重要な役割を果たした人物だ。
そのテクノロジとは、インターネットのことだ。そして、インターネットの父とみなされるこの人物は米国時間3月12日、次のように述べた。私たちは、テクノロジの進化に遅れずについて行き、オンラインではびこる偽情報やいじめを抑制する重責を担っている。
Vint Cerf氏はSXSW Conference and Festivalsで講演し、「これは大規模な社会学的問題だ。テクノロジの社会的影響に対する私たちの直観は、テクノロジに追い抜かれてしまった」と語った。
Cerf氏がこの発言をするわずか数時間前には、ワールドワイドウェブ(WWW)の発明者であるTim Berners-Lee氏が公開書簡を発表し、「偽ニュース」を含むウェブの諸問題に対する懸念を詳しく説明した。ハラスメントや偽ニュースはインターネットの初期の頃からずっと問題になっているが、FacebookやTwitterなどソーシャルネットワークの人気が拡大し、2016年の米国大統領選挙に敵意が影を落としたことしたことにより、それらの問題はより顕著になった。
Googleのチーフインターネットエバンジェリストを務めるCerf氏は、オンラインでの不適切行為に対する社会的圧力を重力にたとえた。
「1つの解決策は、『そんなことをしてはいけない。それは間違っている。道徳的に間違っている』と声をあげることだ。これは効果が薄いように思える。重力は最も弱い力だ。しかし、多くの力が集まれば非常に強大なものになる」(同氏)
一方で、エンジニアは自分の作り出す技術がどのように利用、そして悪用されるのかに注意した方がいいが、それは人々が思うほど簡単ではないかもしれないと語った。「あらゆることを想定するのは難しい。人々は(技術の)さまざまな利用法を発見する、驚くほどの能力を備えているからだ」とCerf氏。
「われわれもインターネットやWWWについて、考え得るあらゆる利用法を想定していたわけではない」(同氏)
Cerf氏は、偽ニュースのようなインターネットの問題に対処するほかの方法としては、暗号技術や強力な認証など、不適切行為を抑制する技術をシステムに組み込んだり、そうした行為がもたらす被害に関する法律や規則を定めて取り締まったりすることも考えられるとした。だが、同氏によると、この2つの戦略にも欠点があるという。
さらに、Cerf氏は「インターネットの父」という自身の非公式の肩書きを、実際の子供の親であることにたとえた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」