Facebook最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerbergが先ごろ、約6000ワード近くある非常に長いエッセイを発表して注目を集めていた。
「それでなくても忙しくて当たり前」の立場の人間がこうしたものの作成に時間を割く(下書きは他の人間に頼んだとしても、指示を出して確認する時間は必要)というだけでも普通ではない感じが伝わってきた。また、大物ジャーナリストのSteven Levy(Backchannel)やKara Swisher(Recode)にはZuckerberg本人が事前に直接、自分の考えを説明していたという事実からは、本人が周到な用意をしてこの発表に望んだ節もうかがえた。
今回は「Zuckerbergがこのエッセイで何を伝えたかったのか」「なぜこのタイミングで自分の考えを伝えずにはいられなかったのか」などを中心に、注目すべき点をお伝えする。
Zuckerbergは「ここに書いた事柄はかなり前から考えていたこと」「ドナルド・トランプ政権下で展開されている『見苦しい政治的対話(ugly political discourse)』の高まりに刺激されてこの新たなミッションステートメントを発表したわけではない」などと語ったとSwisherは記している(本人がそう言ったと書いている)が、エッセイのなかに記してある5つの項目と付き合わせて考えると、この前置きはやはり予防線を張っているようにしか思えない。
上述のCNET記事中にもある通り、Zuckerbergはエッセイの中で次にあげる5つの指針を打ち出している。
人々の支えとなるコミュニティーを作ること、安全なコミュニティーを作ること、情報が行き渡るコミュニティーを作ること、市民参加によるコミュニティーを作ること、排他性のないコミュニティーを作ること、この5つだ。
Zuckerbergが「コミュニティー=共同体の重要性」を強調しているのはこの記述からも明らかだが、さらに次のようなかなり詳しい記述がある(念のため原文を記事末尾に記載)。
1)人々が互いに助け合う複数のコミュニティーをつくることに、どうすればわれわれは役立てるのか。従来からあるさまざまな組織の加入者が減少してるこの世界で、そうした組織を強化するようなコミュニティをつくることに。
2)人々が安全なコミュニティーをつくることに、どうすればわれわれは役立てるのか。世界各地の人々がわれわれに影響を及ぼす可能性がある世界のなかで、参加者が傷つくことを防ぐコミュニティー、危機の最中やその後の再建期に役立つコミュニティーをつくることに。
3)人々が情報が行き渡ったコミュニティーをつくることに、どうすればわれわれは役立てるのか。だれもが発言の手段を手にした世界のなかで、われわれを新しい考えに触れさせ、共通の理解を築くようなコミュニティーをつくることに。
4)人々が市民が議論に参加するコミュニティーをつくることに、どうすればわれわれは役立てるのか。投票に参加する有権者の割合が人口の半分にも満たないことも時としてある世界の中で、そうしたコミュニティーをつくることに。
5)人々がさまざまな違いをもつ人同士を許容し合うコミュニティーをつくることに、どうすればわれわれは役立てるのか。グローバルなコミュニティーの例がほとんどない世界のなかで、われわれ参加者が大切にする価値観や共通の人間性(そうした価値観や人間性は特定の地域から世界全体まで、さまざまな文化や国家地域をまたいで存在するものだ)を反映したコミュニティーをつくることに。
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