くまもとDMCは2月7日、熊本県および各地域への観光客増を目的としたマーケティング活動にデータサイエンスを活用する取り組みを開始した。データビークルの製品を導入し、観光振興専用分析データベースを構築する。
くまもとDMCは、肥後銀行や熊本県などが株主のDMC(Destination Management Company)で、地域の自然、食、風習といった観光資源を使った観光地域づくりを手掛ける法人組織。同社では、「データサイエンスに基づくリサーチデザインを自社で行うこと」「価値あるデータの収集と研磨すること」をコンセプトに、地域観光経営におけるマーケティング活動にビッグデータを活用する。
同社代表取締役社長の村田信一氏は、「2016年4月に熊本地震が起きた。熊本城、阿蘇山なども被害に遭い、観光の面でも復興を加速させるためにくまもとDMCを設立した」と述べ、調査マーケティングから、地域ブランドの企画・立案、着地型旅行商品の企画開発、インバウンド体制整備、企業・事業のコンサルティングなど幅広く手掛けていく。
同社は、熊本の肥後銀行が主導となって設立している。肥後銀行と鹿児島銀行が立ち上げた50億円規模の地震復興ファンドが、くまもとDMC株式を引き受けている。熊本県からの出資も受けているが、比率は4%と民間職が強い。今回、くまもとDMCとデータビークルが共同で新しいマーケティングシステムを構築しており、複数のビッグデータと統計学を駆使することで、課題や問題点、対応策などを引き出していくという。
マーケティングに使用するビッグデータは、ナビタイム(目的地検索データ・インバウンドGPSデータ)、eBASE(商品詳細データ)、Agoop(スマートフォンGPSデータ)、カスタマー・コミュニケーションズ(ID-POS)の4社が提供。諸外国の経済データベースもあわせ、データビークルのデータ統合ソフト「Data Ferry」で研磨。「Data Diver」でデータを分析し、マーケティング施策に生かす。
データは基本的に匿名化など個人情報に配慮した形で活用。ナビタイムでは、ユーザーが熊本に対してどういった検索(観光スポット、食事など)をかけているのかといったデータや、熊本に来る人とそうでない人の行動の差異などが比較できるデータを提供。Agoopでは、熊本の各スポットにどの時間帯にどの程度の人が滞在しているかを比較するためのスマートフォンのGPSデータを提供する。
また、カスタマー・コミュニケーションズのPOSデータをもとに、どのような商品がどの程度売れているのか、店舗の中での取り扱い数などを収集。これにより、熊本県に訪れる観光客がどういったところに興味を持ち、どういった購買行動をしているかを可視化するという。なお、クラウドプラットフォームはMicrosoft Azureを使用する。
くまもとDMCの当面の目標について、同社取締役兼CMOの外山由惠氏は「たくさんの人に熊本県に来ていただきたい。震災後、かなり落ち込んでいる観光産業を含め、震災前の数字を目標にまずは動いていきたい」とした。
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