デジタル変革の処方箋

りらいあコミュニケーションズのハイブリット型デジタル変革

村澤 典知(インテグレート)2016年11月28日 10時30分

あらゆる企業で求められる「デジタル変革」

 前回のコラムでは、デジタル変革をどのような観点で実施すべきかを、7つの視点(目的、業務範囲、中長期戦略、経営コミット、業務プロセス、組織・評価、マインド)をベースに、いま地球上で最もデジタル変革をダイナミックに進めている企業の1つであるGE(ゼネラル・エレクトリック・カンパニー)を例にとって説明した。

 成功事例として参考になる点は多いものの、一方で、ジェフ・イメルトというスーパーCEOやGEという超エクセレント・カンパニーだからこそ機能している面もあり、特殊なケースであることは否めない。そこで今回は、より身近な日本企業の経営者に直接インタビューし、「デジタル変革についてのリアル」な実態について聞いた。

 国内のコンタクトセンター業界を牽引する、りらいあコミュニケーションズ。コンタクトセンターの受託サービスを本業とする同社はこれまで「もしもしホットライン」という社名であったが、業務領域が拡大し、コンタクトセンターに限らず、ウェブや対面営業など多様な顧客接点を支援するようになったことから、2015年10月に社名を変更した。

 これと並行して、ソフトバンクの「Pepperパートナープログラム」のロボアプリパートナーやIBM Watsonのテクノロジーパートナーになっており、業界に先駆けて、従来の人と人とのコミュニケーションが中心のコンタクトセンター業界にAI(人工知能)などの高度なITサービスを持ち込み、次世代の新たなサービスを積極的に提供している。

 りらいあコミュニケーションズ代表取締役社長の中込純氏に、デジタルシフトによる企業変革について話を聞いた。

りらいあコミュニケーションズ代表取締役社長の中込純氏
りらいあコミュニケーションズ代表取締役社長の中込純氏

コンタクトセンター業界で起こっているデジタルシフト

――中込社長になって以降、社名変更とともに積極的にデジタルシフトに関する取り組みをされていますが、その背景には何があるのでしょうか。

 コンタクトセンター業界で起こっている構造変化に起因します。コンタクトセンターは約30年前に日本に導入されたビジネスモデルで、人+電話+システムの組み合わせで成立していました。昨今、我々と同じようなサービスを提供する企業が増え、コモディティ化するとともに、国内の労働人口の減少やデジタル技術の進展により、従来のこのビジネスモデルが大きく崩れつつあります。その結果、必然的にデジタルシフトに取り組んでいます。

――一口にデジタルシフトと言っても、その領域は広いと思いますが、御社としてはどのような領域に注力しようとしているのでしょうか。

 コンタクトセンターの場合、大きくは2つに分かれると考えています。1つは、顧客接点にあたる「フロント」の部分、もう1つは、それを裏で支えるオペレーションにあたる「バック」になります。フロントの部分は複雑で難しい領域でありますが、お客様の価値向上に直結するため、当社では、まずは「フロント」に関する領域を重視しています。例えば、AIがお客様の質問に自動で回答するオンライン・セルフサービスの「バーチャルエージェント」や、最新の音声認識テクノロジーを使用したIVR(自動音声応答)システムといったものが、このフロントにあたります。

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