「勉強垢」というものをご存知だろうか。「垢」とはアカウントの略語。主に高校生などが使う受験・試験勉強用のInstagramやTwitterアカウントのことを指す。
学生時代に「勉強やってない」自慢をしたという人は多いだろう。しかし、最近は必ずしもそうではないようだ。実は、主に高校生の間で、息抜きや暇つぶしに使われていることが多いSNSが勉強のためにも活用されているのだ。高校生のSNSの使い方には問題があることも多いが、このように建設的に活用されている例もある。
GoogleTrendによると、勉強垢は2015年後半から2016年にかけてのトレンドとなっている。大学生や大人の勉強垢もあるが、今回は特に多い高校生による勉強垢の使い方をご紹介したい。
最初に勉強垢が流行ったのは、Twitter上のこと。受験生のTwitter勉強垢を対象とした 受験のミカタ調査(2016年3月)によると、Twitterで勉強垢を運用しているのは高校1年生が36%で最多。続いて高校2年生が34%、高校3年生は18%、中学生は12%だった。受験生となると忙しく、SNSにまで手が回らなくなるケースが多いと考えられる。Twitterと勉強の時間や科目を記録・共有するアプリ「Studyplus」とを連動させている例が多く、記録用や周囲への報告用に使う例が見られた。そのほか、受験関連の悩みを相談している例もあった。
以前ご紹介したとおり、高校生はTwitterで複数アカウントを所持し、本名登録の「表アカウント」、愚痴などをいう「裏アカウント(闇アカウント)」、趣味の情報を集めたり発信する「趣味アカウント」など、目的によって使い分けている。その中に、「勉強アカウント」がある生徒もいるのだ。
Twitterで勉強垢を探すには、プロフィール欄に明記しているケースが多いので、プロフィール検索で「勉強垢」を検索するのが手っ取り早い。受験用アカウントなどは、「高校に合格したので、次は大学受験の時までさようなら」と、一端運用休止しているものもある。志望大学を明記して、「同じ大学を目指す人と繋がりたい」と書いてあるものも多い。
ツイート内容は、勉強した科目と時間、志望大学や将来の夢、点数や偏差値、他の勉強垢のユーザーとの交流などが多い。中にはノートや教科書、参考書、目標を書いた写真などを投稿している例もあり、思わず応援したくなる内容だ。
最近はInstagramでの勉強垢が増えている。「ビジュアル重視のはずのInstagramでなぜ勉強垢?」と思う方も多いのではないだろうか。しかし、実は世界的に“勉強垢”的な使い方はされており、「#study」は731万件、「#studying」は348万件など、海外から投稿されている例も多いのだ。日本限定で見ても、「#勉強垢」は35万件、「#勉強垢さんと繋がりたい」は27万件など、多数投稿されている。わかりやすく、アカウント名に「study」と入っていたり、「あおい@勉強垢」など、名前に「勉強垢」と入っている例も多い。
TwitterだけでなくInstagramでも、複数アカウントを持ち、テーマごとに使い分けているユーザーは多い。趣味のアカウントと勉強のためのアカウントは分けて、フォローする相手もアカウントごとに分けているのだ。フォローする相手や投稿内容をアカウントごとに分けることで、そのテーマの情報が一気に手に入るので使いやすいというわけだ。
投稿には、「#ヨルグラ」「#モニグラ」などのハッシュタグがついていることも多い。それぞれ、夜Instagram、朝(Morning)Instagramの略であり、深夜に勉強するときや、3~5時などの早朝に起きて勉強するときの投稿などにつけられている。「3時45分」などの時刻の時計が写り込んでいたり、ノート画像に時刻をつけて投稿をしたりしているユーザーもいる。
プロフィールには、主に学年、受験科目などが掲載されている。Instagramで投稿されている写真は、ノート、教科書、参考書、ステーショナリーなど。それなりにきれいに撮った写真が多いが、いわゆるインスタジェニックからは程遠い写真ばかり並ぶ。時折交じるそれ以外の写真も、休憩で食べた甘いものや飲み物などだ。
Instagramなのに、説明文が長文で自分の気持ちや悩みなどを素直に吐露している例が多く、文章主体の投稿となっている。自分の気持ちや悩み、勉強内容、試験結果、勉強するべきリストなどを長文で書いているアカウントは特に人気が高い。他人の学習進度や勉強内容などが気になる受験生たちがこぞってフォローしているようだ。コメント欄にも、同意したり慰めたりなど、同じ境遇の受験生たちからのコメントが多数並んでいる。
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