10代の友だち同士のつながりが変化してきている。SNSでのみ友人とつながっていたり、ネット上のみの友人関係も少なくない。10代の人間関係とSNSは切っても切り離せない。10代のSNSを通じた人とのつながり方の実態と問題点について考えていこう。
中高生を対象としたベネッセ教育総合研究所の「中高生のICT利用実態調査」(2014年2月)によると、中学生は「インターネットはまったく使っていない」人が1割、インターネットは使っていても「コミュニケーション利用はしていない。または月1~2回以下」の人が2割いる。
オンラインでのつながりの範囲は、「学校などリアルの延長線上のみ」が中学生は43.3%、高校生は68.5%と最多だが、ネットのみの知り合いも多い。中高生ともネットで知り合った人がいる割合は2割強(中学生21.6%、高校生23.6%)おり、そのうち直接会ったことがある人は、中学生は5.1%、高校生は8.2%いた。
また高校生では、LINEの友だちの数が300人以上がネット利用者の3%、Twitterのフォロワーが500人以上が5%いた。中高生が、学校などリアルの延長線上のみでなく、ネットのみでのつながりも多いことがよく分かる。
GIRLS’TREND研究所が、女子高生/女子大生に友だちの数を聞いたところ(2015年5月)、平均は62.8人だった。「11~20人」がもっとも多く20.5%で、「201人以上」も10.8%いた。明らかにネットでのつながりを含めた数と考えられる。これが、いつも遊ぶ友だちとなると一気に減って平均3.9人。親友の数も平均2.9人となった。「友だち」の範囲が広がり、薄く広い友人関係を築いているが、本当に親しい人はそれほど多くないことが分かる。
ここからは、10代のリアルなSNSを通したつながり実態について見ていこう。10代に話を聞くと、「(同じクラスの友だちでもお互いの)電話番号やメールアドレスは知らない」と答えることが多い。高校1年女子A乃は、「LINEだけでつながっているので、喧嘩した友だちにブロックされた時は謝れなくて焦った」。他の連絡先は知らなかったが、慌ててTwitterアカウントを探し、そちらにリプライして謝罪したという。それからはTwitterも大事と、Twitterアカウントも積極的にフォローしているそうだ。
大学2年男子B也も、「メールアドレスを知っているのは本当の親友1~2人くらい。あとは電話番号も知らない」と答える。「通話はLINEで済むし、大学のゼミもLINEでつながっているから、メールはほとんど必要ない。自分のメールアドレスもよく分からない」。
最近の高校生や大学生は、新しいクラス名簿が発表されるとすぐにLINEグループを作る。クラスのグループ、男子グループ、女子グループがその日のうちにでき、入学式や始業式前に、すでに交流が始まるという。
Twitterなどでプロフィールに「○○高校入学予定」などと入れている子もおり、入学前からLINEやTwitterでのつながりは広がっていく。自分で積極的に検索することもあれば、相手からTwitterで話しかけられて盛り上がることもあるそうだ。多い子は学校関係のつながりだけで100人を超えている。
「Twitterで入学式前に(入学予定者同士で)盛り上がって会っていた子もいる。カラオケとかボーリングに行っていた子も。別の学校に行った子は、入学式前にトラブルが起きて、LINEグループがお互いの悪口だらけになって大変だったらしい。入学後もしばらく険悪だったって」。
A乃いわく、参加人数が多いため、クラスのLINEグループは通知がうるさかった。一番盛り上がったのは入学前の時だ。学校が始まってみると、写真を見て「かっこいいかも」と思っていた子がそれほどでもなかったり、LINEで発言が多かったのに実際はおとなしかった子もいたりと、ギャップを感じたという。学校が始まってからは全体グループではなく、親しい仲間内でのグループのやりとりがメインとなっている。ネットのみで気が強くなる、“ネット弁慶”も少なくないということだろう。
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