本記事のテーマにもなっているのがMacに登場した新しいインターフェースであるTouch Barだ。その前に、既存のインターフェースについても触れておこう。
今回のMacBook Proのふたを開いてまず驚くのが、巨大化した感圧式のトラックパッドだ。13インチモデルではiPhone SE以上、15インチモデルではiPhone 7以上のサイズを誇る。
もちろんキーボードをタイピングしている間は、誤って触れても誤作動しないよう配慮されているが、サイズが拡大したことで、今後アプリケーションによっては、片手の複数の指、あるいは両手を使った操作を充実させるものも出てくるかもしれない。
第2世代となったバタフライメカニズムのキーボードは、浅いことには変わりないが、MacBookと比較してエレガントな音と、より打鍵感がはっきりした点が違いとなる。
今までのバタフライキーボードでは、キーのバネの跳ね返りを使ってテンポを作るようなタイピングに向かなかった。しかし新しいキーボードは、弾むようなリズミカルなタイピングも、慣れてくると可能になりそうだ。ただ、基本は、打つよりも撫でるようなタッチを心がけた方が良いことには変わりない。
Touch Barは、カスタマイズ可能なファンクションキーの代替だ。実は、macOS Sierraの設定から、ファンクションキーを表示することも可能だが、標準的な活用では、右側にシステム設定、中央部分はアプリやその作業状態に応じた機能ボタンが表示され、タップするだけで選択可能になる仕組みだ。ちなみに「esc」キーは多くの場合、左側に表示されている。
macOSの標準アプリであるメール、カレンダー、計算機、Safari、写真、GarageBand、iMovie、Apple製のアプリであるPages、Numbers、Keynote、Final Cut Proなどは、すでにTouch Barに対応しており、状況に応じて機能を1タップで実現するボタンが出てくる。
Touch Barの操作で気づくのは、ファンクションを束ね、それを展開して各機能を選ぶ「ツールバーの階層化」が行われている点だ。
システム設定についても、当初はSiri、ボリューム設定、消音、明るさ設定のみが表示されており、より多くの機能を表示したければ、「<」をタップする。またボリューム設定ボタンを押せば、ツマミが現れてコントロールでき、「X」ボタンで閉じる。
こうした操作が、いままでのツールバーをマウスでポイントして利用する動作よりもシンプルかどうかは、今後のアプリの充実次第かもしれない。
ただ、全画面表示をしている際に、画面にツールバーを置く必要がなくなる上、マウスでボタンに慎重にポイントする必要もなくなる。ただ、目で見てタップすれば良いだけになり、操作の一瞬一瞬が素早くなる経験をした。
また、角度や大きさなどの調整をスライド操作で行える点は、マウスやトラックパッドを完全に上回る操作性だ。トラックパッドで画面内のスライダーを操作する際、マウスでスライダーをポイントしてクリックし、その状態を保持しながら左右に動かさなければならない。それに比べて、Touch Barに表示されたツマミをなぞる方がはるかに簡単で素早い。
これが、一見「キーボードの拡張」に見えるTouch Barが、実は「トラックパッドの拡張」という解釈がふさわしいと思った大きな理由だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」