11月1日に実施されたKDDIの第2四半期決算は、営業収益が7%増の2兆3016億円、営業利益が18%増の5326億円と、こちらも継続して増収増益を達成した。
KDDIの好業績の要因も、やはり個人向け通信事業の好調にあるようだ。auの通信ARPA収入は前年同期比1.7%増の4472億円と順調な伸びを示しているのに加え、付加価値ARPAも加えた総合ARPAも、前年同期比210円増の6340円と、こちらも順調に伸びている。
そしてもう1つ、好調をけん引しているのが販売コストの削減である。個人向け通信事業を主体としたパーソナルセグメントの営業利益を見ると、前年同期比20%増の4232億円となっているが、その要因としてKDDI側は「端末販売原価や販売手数料等の減少」と説明している。これは先の総務省ガイドラインの影響によって、端末の実質0円販売などが事実上できなくなったことから、割引額が減って利益の伸びに貢献したものと見ることができる。
だが現在のところ、そのガイドラインによるマイナスの影響を最も受けているのはKDDIであろう。同社は低価格サービス戦略で他社と比べ大きく出遅れており、最近になってようやく、UQコミュニケーションズの「UQ mobile」を活用して低価格ユーザー獲得に力を入れてきている。だが多数のMVNOを有するドコモや、ワイモバイルで先行するソフトバンクと比べると出遅れ感は否めない。
特に総務省のガイドラインが打ち出されて以降、低価格を求めるユーザーは大きく伸びており、auのユーザーも多く流出していると見られる。実際、同社代表取締役社長の田中孝司氏も、「ARPAの伸びはそれほど心配していないが、契約者数はMVNOへの流出が出ており、マイナス傾向にあると思う」と話しており、低価格を求めるユーザーへの対応がまだ弱いことをうかがわせる。早期にUQ mobileの認知を高め、販売を拡大することで、低価格を求めるユーザーの受け皿を確実に構築することが求められるところだ。
一方で、ユーザー1人当たりの売上を高める上で重要となってくる、au経済圏の拡大に向けたライフデザイン事業の拡大は着実に進められている。3月にテレビ通販大手のジュピターショップチャンネルを連結対象としたのに加え、12月にはディー・エヌ・エーのEC事業の一部を取得する予定だ。また、長期利用者優遇プログラム「au STAR」に関しても、11月からポイントによる還元プログラム「au STARロイヤル」を開始するなど取り組みが本格化。こうした施策によって既存ユーザーをいかにつなぎとめられるかも、KDDIにとっては重要になってくるだろう。
ちなみにKDDIは、個人向け事業が好調な一方で、グローバル事業が前年同期比で売上高がマイナス12.5%、利益がマイナス26.1%と、大幅な減収減益となっている。この点について田中氏は、「その大半は為替の影響だと認識してもらえれば」と説明。同社らが合弁で手掛けるミャンマーの通信事業に関しては、契約者数が順調に伸びるなど好調を維持しているとのことだ。
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