Microsoftは独自のスマートフォンハードウェアをもっと早く作るべきだったと、同社の前最高経営責任者(CEO)であるSteve Ballmer氏は先頃、Bloombergとのインタビューで語った。
「私なら、もっと早くハードウェア事業に進出して、チップとシステム、ソフトウェアが別々に存在していた当社のPC分野におけるリソースの大半が、モバイルの世界では通用しないことを認識していただろう」(Ballmer氏)
Microsoftは「スマートフォンに関しては、もっと早くハードウェア事業に進出」すべきだったとBallmer氏は述べた。同氏によると、それが実現しなかった別の(そして、おそらく予期していなかった)理由は、2006年11月にリリースされた「Windows Vista」だったという。
Vistaのリリースで、「必要以上に長い間、極めて多くのリソースが奪われてしまった。なぜなら、われわれはさまざまな困難に直面したからだ。優秀なエンジニアの多くがある意味で生産性を発揮できない状態が長く続くと、本当に大きな損失が生じる」とBallmer氏は説明した。
Microsoftは2014年に莫大な金額でNokiaの携帯電話事業を買収したにもかかわらず、今では、スマートフォン分野で秀でた企業になることをほぼあきらめてしまっているようだ(表を参照)。ただし、同社が2017年に「Surface Phone」を発売して、もう一度戦いを挑む気配も多少残っている。しかし、現在のところ、市場に影響を与えることに失敗したMicrosoftは、自社のアプリを他社のスマートフォンOSに搭載することを甘んじて受け入れているようだ。
それでは、MicrosoftがNokiaをもっと早く、例えば、2014年ではなく2012年に買収していたら、本当に状況は変わっていたのだろうか。
もちろん、Microsoftには、モバイルソフトウェアを作ってきた長い歴史があった。「Windows Phone」以前にも、2000年から「Windows Mobile」を開発していた。その前には「Windows CE」と「Pocket PC」があった。ただし、Microsoftはハードウェアを自社で製造せず、DellやCompaqといった企業に端末の製造を委託していた。
確かに、2006年の市場シェアデータを見ると、当時の世界が今とどれだけ違っていたかが分かる。Windows CEがPDA市場で半分以上のシェアを誇っていた(そして、Nokiaは携帯電話市場で3分の1のシェアを獲得していた)。
初代「iPhone」が2007年6月に発売されて、すべてが変わり始めた。ただし、その変化のペースは遅かった。スマートフォン市場のシェアに関する次のデータを見ると、実にいろいろなことが分かる。
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