写真共有サイトFlickrで人気の高いカメラを見ると、上位5位のうち4つがAppleの「iPhone」だ。しかし、Googleは米国時間10月4日に発表したスマートフォン「Pixel」と「Pixel XL」の新しいカメラテクノロジによって、写真愛好家たちの心をつかみたいと考えている。
クリエイティブなユーザーはこれまで、Googleの旧スマートフォンシリーズ「Nexus」にほぼ無関心だったが、同社は新型スマートフォンのカメラを紹介するための時間を設けて詳しく紹介するなかで、今回の新モデルがこうした層にも関心を持ってもらえると思われる理由をいくつも挙げた。
Pixelのカメラアプリは、起動と撮影の速度が上がっており、制御機能が向上しているほか、AIを使うことで、高速で連続撮影した写真の中から最高の1枚を見つけることができる。新しい12メガピクセルのソニー製イメージセンサによって、オートフォーカスが高速化した。高性能のQualcomm製プロセッサが搭載されたため、バッテリ消費を抑えつつ、イメージセンサが出力する未加工のデータを以前より短時間で完成写真に変換することができる。
だが、Pixelの写真撮影機能を高く評価する人が増えそうだと考えられていることには、もっと大きな理由がある。Googleは今回、Pixelの設計を自社で完全に管理してきた。そして今、Pixelを店舗や町中で見かけるようなマスマーケット向けスマートフォンにすることを目指している。Nexusは開発者やGoogleファンの間でニッチな成功を収めたが、GoogleがFlickrの人気カメラランキングで順位を上げるには、もっと多くのユーザーの支持を得る必要がある。
「Android」のエンジニアリング担当バイスプレジデントのDave Burke氏は次のように述べた。「目標は世界最高のスマートフォンを作ることだ。NexusからPixelへと進むに当たって、これまでよりはるかに幅広いユーザー層を獲得し、最上位のスマートフォン市場に食い込みたい」
これはGoogleにとって非常に大きな変化だ。これまでの同社は、サムスンやHTC、LGといった企業に頼って、モバイルOSのAndroidを市場で成功させてきた。今回Googleは、スマートフォンを設計して、部品を購入し、「G」ロゴを本体背面につけたほか、そのスマートフォンの販売とサポートも手がける。簡単に言うと、GoogleはAppleに近づいた。自社ですべてをまかなう企業になったということだ。
Pixelの価格は32Gバイトモデルが649ドルから。Appleの「iPhone 7」やサムスンの「Galaxy S7」など、世界的に知名度の高いスマートフォンと同じ価格帯だ。Pixelの128Gバイトモデルは749ドルで、Pixel XLの32Gバイトモデルと128Gバイトモデルはそれぞれ769ドル、869ドルとなっている。米国など一部の地域では、予約の受付が既に始まっており、10月20日に発売される予定だ。
第三者による評価を紹介すると、DxO LabsはPixelのカメラに過去最高の「DxOMark Mobile」スコアとなる89点をつけている。サムスンGalaxy S7と「HTC 10」より1点高く、iPhone 7より3点高いスコアだ(DxOは「iPhone 7 Plus」のテスト結果をまだ発表していない)。
ある1つの電子的な結びつきがGoogleの新しいアプローチを具体的に示している。これはイメージセンサをモーションセンサおよび傾きセンサとリンクさせ、スマートフォンがカメラの動きを正確に把握できるようにするものだ。センサからの情報は1秒間に200回更新される。
このことは、Pixelの最大の改善点の1つであるデジタル手ぶれ補正のために極めて重要だ。Pixelのデジタル手ぶれ補正は、歩きながらスムーズな動画を撮影できるレベルにまで向上している。実際の物理的なカメラ部品を安定させて手ぶれを補正するAppleのアプローチとは対照的だ。
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