タイムの計測は何よりも重要だ。
リオデジャネイロ五輪の競泳に出場した米国のKatie Ledecky(ケイティ・レデッキー)選手のコメントを見てみよう。現地時間8月9日夜、Ledecky選手は思わず身を乗り出しそうな緊迫した女子200m自由形の決勝で、半分を過ぎた時点でトップから0.6秒遅れていた。
鼓動が高まる最終ターンまでに彼女はこの差を埋め、さらに優位に立った。Ledecky選手は最初に壁をタッチし、3日間で2個目の金メダルを獲得した。2位だったスウェーデンのSarah Sjostrom(サラ・ショーストレム)選手との差は、わずか0.3秒だった。
「自分が先頭に立ったことは分かっていて、譲る気はありませんでした。彼女がすぐそこに来ているのも感じていました」と、19歳のLedecky選手は後にNBC Sportsに語った。「レースの最中にあれほどまで吐きそうになったのは初めてです」(同選手)
このような間一髪のゴールこそ、Omega Timingの最高経営責任者(CEO)であるAlain Zobrist氏が人生を懸けて取り組んでいることだ。同氏が率いる部門は1世紀近く、オリンピックの公式タイムキーパーを務めてきた。目指すのは、複雑であることとシンプルであることの両方だ。同社は、30近いオリンピック競技で、多岐にわたる技術が正確で間違いないものであるようにしたいと考えている。
Omegaが活用する技術は、タイマー、タッチパッド、センサ、カメラ、そしてレーザースキャナだ。
スイスに本社を置くOmegaがオリンピックにタイム計測機器を提供してきた長い歴史は、1932年に始まった。この年、同社はロサンゼルス夏季五輪の記録を測定するのに、携帯ストップウォッチ30個を提供した。
しかし「技術は変わった」とZobristは語る。Omegaはリオ五輪に480名のタイムキーパーを派遣。これらのタイムキーパーは現地で計450トンにのぼる装置を扱っている。
こうした装置の1つが「Scan'O'Vision Myria」カメラだ。レースの勝者が疑いないものであるよう、1秒間に最大1万フレームの高精細画像をゴール地点で撮影することができる。
「以前は2000枚を撮影するカメラを使っていた」と同氏。
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