筆者は「Pokemon GO」を実際にプレイすることには全く興味がない。しかし、熱心なポケモンウォッチャーとしての資格はあると考えている。
妻のRachelはPokemon GOにすっかり夢中だ。このゲームがリリースされてから、われわれは存在しない架空の動物を捕まえることに週末の多くの時間を費やした。
「ポケストップ」があると、妻は筆者に車を止めさせる。道端にあるものを手に入れられるよう、あまり速く運転しないでほしいと言ってくることさえある。
何ということだ。2人とも47歳なのに。
ただし、筆者はそれほど心配してはいない。今はPokemon GOブームが過熱しているが、このゲームに対する大きな関心は夏の終わりまでに徐々に薄れていくのではないだろうか。Pokemon GOは一時的な流行だ。
率直に言って、Pokemon GOのゲームプレイ体験は極めて単純なので、関心を長い間つなぎ止めておくことはできないだろう(現実を受け入れよう。今の時代、どんな製品やアプリでも、子供のみならず大人の関心もつなぎ止めるのは難しい)。そして、Pokemon GOには、「iOS」と「Android」の両方で大きな利益を上げているゲームシリーズほどのソーシャル力や競争力はない。
開発元のNiantic自体がPokemon GOを持続できるだけの利益を同ゲームから得られるのかどうかも、現時点では不明だ。
同ゲームのリリースから間もなく、任天堂の株価が70%上昇したことは筆者も承知している。これは75億ドルに相当する。
しかし、任天堂はポケモンブランドとキャラクターのライセンシングエージェントであり、利害は比較的少ない。Pokemon GOとの利害関係が最も大きいのは、ソフトウェア開発業者で、「Google Compute Engine」および「Google App Engine」サービス(同ゲームのインフラはこれらのサービスを基盤としている)の主要な利用者であるNianticだ。
それでも、Pokemon GOから得るべき教訓はたくさんある。今回の現象は、全く新しい種類の拡張現実(AR)アプリケーションの予行演習だったのだ。このことは、ゲーム開発とアプリケーション開発に新たなゴールドラッシュをもたらすだけでなく、企業がオンラインと現実世界の両方に影響を与えるやり方も変えてしまうだろう。
留意しておくべきは、Pokemon GOが真のARアプリケーションではないという見方もあることだ。それによると、真のARでは、このゲーム(そして、現在のスマートフォンハードウェア)が処理できる量をはるかに上回る情報が重ねられ、提示されるという。
しかし、ARアプリをたやすく次のレベルへ引き上げる可能性を秘めている要素もいくつかある。それらは未来の位置情報ベースのスマートフォンアプリに(もしかすると、Pokemon GO自体のアップデート版にも)登場するかもしれない。
現在のPokemon GOの収益化手段は、かなり単純なものだ。Nianticは1つのもの、つまり「コイン」を販売して売り上げを得ている。エンドユーザーは実際のお金を使って、これらのコインを購入する。コインを使えば、ゲームプレイ体験を高める、特定の種類のゲーム内アイテムを買うことができる。
これは、アプリ内購入機能を備えるモバイルゲームでは、プレーヤーの関心をつなぎ止めるための手段として、極めて一般的なやり方である。ほぼすべてのゲームは、この手法と広告ネットワークへの参加によって収益を得ている。「Candy Crush」も、「Clash of Clans」も、「Mobile Strike」も同じだ。
米国では、AppleのiOS向け「App Store」において、Pokemon GOは最も多くダウンロードされているアプリだが、現在、「トップセールス」ランキングでは16位だ。Nianticは同ゲームの実際の売上高をまだ明らかにしておらず、15位の「Hay Day」とPokemon GOの差がどれくらいあるのかも、よく分からない。
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