6月28日~7月4日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。
Appleは中国を米国に次ぐ「第2の市場」として、ビジネスを設計している。しかし、米国の他のテクノロジ企業、あるいは世界中の企業と同様に、合理的なビジネスを進められず悩んでいる。
今回Appleは新たに、中国の国家新聞出版広電総局(SARFT)傘下の部門、「Movie Satellite Channel Program Production Centre」に提訴されたと報じられた。同組織が保有している1994年当時の動画をAppleが配信したことによって、多大な経済的損失を被ったと主張し、動画の取り下げと5万人民元(7500ドル)の賠償を求めている。
Appleとともに訴えられたのは、Youkuの親会社であるHeyi Information and Technologyだ。App Storeで配信されているアプリ「Youku HD」で配信されていたことから、Appleも訴えに含まれている。ご存じの通り、Youkuは日本や米国からすれば違法アップロード動画の宝庫である。
ここまで読んできて不可解に感じられた方もいるのではないだろうか。動画をアップロードし、配信しているのはYoukuのサービス上であるにもかかわらず、そのアプリを配信するAppleまで訴えられているのである。
SARFTとAppleはこれまでも、iTunes MovieやiBooksのサービスを停止させられたことがある。The New York Timesは「西洋思想を取り締まり」と断じているが、大きな視点で見れば、米国テクノロジ企業は、市場からの締め出しに近い施策を当局が採ることによって、競合関係にある中国企業を有利にする一貫だ。
AppleはiTunesの配信停止以降、5月には「iPhone」というブランド名を使う北京を拠点としたアクセサリメーカーとの商標権争いで敗訴し、6月には「iPhone 6」と似ても似つかぬ製品を作るスマートフォンブランドに、「デザインの模倣」を理由に訴えられている。
Appleは中国のタクシー配車大手、滴滴出行(Didi Chuxing)に投資し、Tim Cook CEOが現地を訪れて体験する様子をメディアに公開するなど、中国市場への取り組みと良好な中央当局とのパイプ作りに努めている。しかし、今後もこうした難しい局面が続いていくことは、想像に容易い。
アップル、中国でまたも提訴か--中国市場で難題続く(7/5)Appleの音楽定額サービス「Apple Music」は6月30日で1周年を迎えた。これに先立ち、6月13日に開催されたWWDC16の基調講演において、Apple Musicのユーザーインターフェイスの刷新がiOS 10のプレゼンテーションの中で紹介された。既に開発者向けのプレビューで利用することができ、7月からパブリックベータ、9月とみられるiPhone発売直前から正式版が、それぞれ配信される。
Apple Musicは2016年に入ってから、毎月100万人ずつ有料会員を積み上げており、6月の時点で1500万人を突破している。同時期に、最大のライバルであるSpotifyは3000万人のユーザーを獲得しており、その差は依然としてダブルスコアだ。当然、競争も激化している。
そんな中、AppleはSpotifyの最新のアプリアップデートを、App Storeでリジェクト(差し戻し)したとして、Spotifyが抗議の書簡を送った。Apple Musicが存在していることから、Spotifyに対して競争の妨害をしているのではないかという申し立てだ。
これに対して、AppleはSpotifyに対して書簡を返した。この中でAppleは「すべての開発者に適用している規制を免除しようとしている」と反論した。しかも、すでにSpotifyは、App Storeのビジネスモデルに対する条件を侵害しているとも付記している。
Appleはアプリ内の月額課金モデルを提供しており、その課金額の30%は、Appleが手数料として徴収する。先頃の発表で、1年以上継続しているユーザーの手数料を15%に割引き、長期的な月額課金モデルを奨励する料金施策を採ったばかりだ。
Spotifyは、App Storeでの月額課金に加えて、自社の課金システムでも契約を直接取っている。Spotifyはこれまで、9.99ドルの直接契約に対し、App Store上での契約では手数料の30%分を上乗せした価格をユーザーに設定してきた。つまり、Spotifyは、Appleの手数料を回避する方法を用意してきたことになる。
また、現在Spotifyのウェブサイトで直接契約をすると、3カ月間は月額0.99ドルでサービスを利用できるキャンペーンも展開している。このように、Appleの手数料を回避するようユーザーに仕向ける規約違反を続けていたことが、Appleの我慢の限界に達したのだろう。
同じような問題でユーザーに不利益を与えているケースは、AmazonのKindleがある。iOS向けにもKindleアプリが配信されているが、ユーザーはウェブサイトで電子書籍を購入しなければアプリ内で読めない。アプリ内での購買をする際に規約を遵守すると、Appleの手数料30%を回避できないからだ。
アップルがSpotifyに応酬--アプリ更新の却下めぐり(7/4)Appleが2017年から使用を開始する予定の新社屋「Apple Campus 2」の最新ドローン映像が届いた。Steve Jobs時代から計画が進んでいると言われる新社屋は、巨大な円盤形のメインビル、フィットネスセンター、研究棟などからなる。
キャンパス全体がメガソーラー発電所のようになっており、キャンパスの発電量は20メガワット。燃料電池への蓄電も行うことができ、余った電力を地域のグリッドに販売する計画も明らかにされている。
Appleは環境問題への対策を強く意識した取り組みを行ってきた。3月のiPhone SE発表イベントでは、iPhoneの解体ロボットや、100%再生可能エネルギーでの操業のビジョンなどを紹介した。
また5月21日にサンフランシスコにオープンしたApple Union Squareは、Apple Campus 2と同じFoster+Partnersの設計で、新社屋と同じ床材が使われており、ソーラーパネルで電力をまかなう仕組みなど、環境対策の面では「ミニチュア版のApple Campus 2」とも言えるデザインを体験できる。
アップル新社屋、完成近づく様子がドローン映像で明らかに(7/4)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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