訪日客はいつ情報収集するのか--来日トップ5カ国を分析して分かった各国の“スタイル” - (page 3)

アウンコンサルティング2016年07月01日 08時00分

米国は“長期休暇”ならではの情報収集スタイル

 第5位に、初めて近隣アジア以外の米国が登場します。米国の基礎データです。

日本政府観光局(JNTO)による韓国の基礎データ
日本政府観光局(JNTO)による米国の基礎データ

 初回訪問、個人旅行が多く、7日以上の長期滞在者が70%以上となっています。都道府県別訪問率トップは東京ですが、2位は京都、3位は欧米圏の訪日客に人気の神奈川県となっています。

各キーワードにおける米国での検索動向
各キーワードにおける米国での検索動向

 旅行形態をみると、米国からの訪日客の88.5%は個人旅行で日本に訪れています。しかし、同じく個人旅行の多い香港とは異なり、地域別ではなく「日本旅行」の検索数がとても多くなっています。

 地域名の「東京旅行」「京都旅行」の検索数が少ない理由としては、例えば長期滞在で、来日してから観光先を決める人、あるいは「この機会に日本を縦断しよう」と考える人もいるためなのかもしれません。上位5カ国中、最も距離が遠い国である米国では、他の近隣アジア地域とは異なる検索傾向が見て取れます。

 そして、「夏休み旅行」は、なんとクリスマス休暇が終わってすぐの年明け1月から検索数が徐々に増え始めています。日本より祝日が少なく、大きな連休であるクリスマス休暇以外、夏休みという時期も決まっていません。そのため、春先から夏休み休暇を取得する方もいるのかもしれません。

ターゲットとする訪日客のシーズナリティや検索動向を意識する

 ニュースでよく目にするようになった、「インバウンド」「爆買い」などのキーワードから想像する訪日外国人は、どこの国の方でしょうか。大多数のイメージは、中国などの中華圏の方ではないでしょうか。それでは、中華圏の方が一番、日本に訪れている時期はいつ頃だと感じていましたか。春節(中華圏のお正月)だったのではないでしょうか。

 しかし実際には、中華圏の訪日客のピークは7、8月の夏休みが一番多いということがデータでみると明らかです。また、同じ中華圏と言っても、初回訪問・団体旅行が多い中国とリピーター・個人旅行者の多い香港では、訪日する方法も情報収集のキーワードも異なります。

 中国の訪日客は、訪日数急増と流行語にもなった「爆買い」行動のため、特に目立っていますが、米国からの訪日客も減ってはおらず、年々増加しています。一服感のある「爆買い」だけに頼った戦略はリスクが伴います。中華圏と比較するとショッピング消費は少額ですが、長期滞在のため滞在費用が高くなる傾向のある米国やヨーロッパをターゲットにしたプロモーションの強化も必要となってくるでしょう。

 インバウンド関連のニュースが急激に取り上げられるようになり、無意識のうちに先入観を持ってしまっている方が増えています。インバウンドプロモーションとは、自社サービスや立地を生かし、きちんと国別にターゲットを絞り、現地のシーズナリティやトレンドを把握した上で、時期を見定め、ターゲットへの訴求を実施することが最も重要なことだと考えております。

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